老人保健施設とは?サービス内容や料金など気になることをチェック

老人保健施設とは?サービス内容や料金など気になることをチェック

高齢者が利用できる施設にはさまざまな種類があり、何がどう違うのか、どこを利用すればいいのかよくわからないということが多いのではないでしょうか。

その中でも今回は「老人保健施設」についてくわしく解説します。サービス内容や料金などを見てみましょう。

1.老人保健施設とは

老人保健施設とは高齢者が家庭に戻ったときに自力で生活できるようにリハビリをしたり、医療行為を受けたりする入所型の施設です。正しくは「介護老人保健施設」と言います。

デイサービスのように通所するのではなく、一定期間入所して身の回りのことが自分でできるようにサポートを行います。ただし、老人ホームとは違い、ずっと長く入所できるわけではありません。

1-1.老人保健施設とよく似た施設の違い

介護老人保健施設とよく似たものに「介護老人福祉施設」や「介護療養型医療施設」があります。これらはいずれも介護保険の施設サービスですが、内容には違いがあります。

介護老人福祉施設 介護老人保健施設 介護療養型医療施設
設置根拠 「老人福祉法」に基づいて認可された特別養護老人ホーム 「介護保険法」に基づいて開設許可 「医療法」に基づいて許可された病院または診療所の療養病床を指定
設置者 地方公共団体・社会福祉法人 国・地方公共団体・医療法人・社会福祉法人・日本赤十字社・健康保険組合など 病院・診療所・地方公共団体
利用対象者 要介護3以上 要介護1以上 要介護1以上
特徴 介護を伴う生活支援を行う 病状が安定していて入院の必要はないが自宅での自立が不安な人に対してリハビリや介護、看護などを行う 医療面の管理が必要だが比較的病状が安定している人に医療行為を行う
人員配置 いずれの施設も医師(介護老人福祉施設は非常勤でも可能)、ケアマネージャー、介護職員、看護職員、栄養士、理学療法士・作業療法士または言語療法士(介護老人福祉施設は機能訓練指導員)を置くように決められています。

2.老人保健施設の利用対象者

老人保健施設の利用対象者

老人保健施設を利用できるのは、

  1. 65歳以上で要介護1~5の認定を受けている人(または40歳以上で厚生労働省が定める16の特定疾病が原因で要介護1~5を受けた人)
  2. 病状が安定している人
  3. 入院治療よりはリハビリ、看護、介護が必要な人

に該当する人です。

入院して治療を受ける段階が終わり「回復期」に入っている方で、まだ自宅に戻ってもひとりで自分のことができないという場合に利用します。病院というよりは老人ホームに医療行為がプラスされたものというイメージです。ただし、老人ホームは一生そこで過ごすことができますが、老人保健施設は3ヶ月ごとに状態を見直して家庭復帰を目指します。

3.老人保健施設のサービス内容

老人保健施設のサービス内容

老人保健施設では、

  • 歩行のためのリハビリ
  • 日常生活の動作訓練
  • 入浴・清拭などのお世話
  • 食事の介助
  • 投薬・注射・医療処置・検査などの医療行為
  • 娯楽

などのサービスが受けられます。

これらのサービスは「ケアプラン(介護サービス計画)」に基づいて看護、医学的管理の下で進められます。

3-1.老人保健施設でのリハビリの内容

老人保健施設を利用する目的のひとつに「機能訓練」があります。リハビリ室やトレーニングルームを設けて、歩行訓練のマシンや筋肉トレーニングの器具などを置いています。ここでのリハビリはケアプランに沿って実施されます。

主な内容は次の通りです。

  • 基本動作……起き上がり、立ち上がり、座位、寝返りなど
  • 歩行……施設の庭を歩く、マシンでの歩行訓練、施設に隣接する病院まで歩くなど
  • 日常生活動作……箸やスプーンを持って食べる練習、排泄、入浴、更衣を自分でできるようにする
  • 応用動作……階段の昇降、屋外歩行など
  • 言語……コミュニケーション能力の向上

歩けない場合は車いすでの移動ができるようにする訓練を行います。また、食事の飲み込みを練習するリハビリなどもあり、入居者の状況に合わせて取り組みが進められます。

3-2.老人保健施設での医療行為

老人保健施設に入所している間は、施設の医師が診察や投薬、注射などの医療行為を行います。これらの医療に関する費用は施設費に含まれているので、別途医療費を支払うことはありません。

ただ、耳鼻科や眼科、歯科など専門科の診療が必要な場合は、施設に在籍している医師では対応できない場合があります。そのときは「他科受診」が認められます。

3-3.老人保健施設での日常生活

老人保健施設には個室~多床室(4人部屋)まであります。施設や利用者の状況によって多少内容は異なりますが、一般的な一日の流れをご紹介します。入浴は入所者が多い場合は時間がかかるため、時間や曜日を決めて行なわれます。

6:00 起床
8:00 朝食
9:30 入浴(一般浴)
10:00 おやつ
10:30 リハビリやレクリエーション
12:00 昼食
13:30 入浴(機械浴)※
14:00 リハビリやレクリエーション
15:00 おやつ
18:00 夕食
21:00 消灯

※機械浴とは入浴用ストレッチャーのまま入浴する方法のことです。

3-4.老人保健施設でのレクリエーション

老人保健施設では利用者とスタッフの交流を図ったり、さまざまなレクリエーションを通して機能の向上を図ったりします。レクリエーションには折り紙、絵画、手芸など指先を使うものが多く取り入れられています。

また、季節に合わせてお花見や運動会、クリスマス会なども行われます。近隣の学校や保育園から子どもたちが訪問することもあります。

4.老人保健施設の費用

老人保健施設の費用

 

老人保健施設の費用が高いという声をよく耳にしますが、これは要介護の度合いや部屋(4人部屋か2人部屋か個室か)、利用者の負担限度段階(第1段階、第2段階、第3段階、第4段階)によって異なります。そのために一概に「○日間入所したらいくら」とは言えませんが、費用の内訳は、次のようになっています。

  • 施設サービス費
  • 居住費
  • 食費
  • 日常生活費(理美容代など実費を自己負担)
  • 加算分

それぞれについてご説明していきます。なお、老人保健施設では入所一時金は不要です。

4-1. 老人保健施設の施設サービス費

施設サービス費は施設の形態や居室タイプなどによって異なります。従来型というのは今までの老人ホームなどと同じ形態、ユニット型というのは10人程度を1つのグループ(ユニット)に分けて、ユニットごとに食事や入浴などをする施設のことです。

また、在宅強化型というのは在宅復帰率が50%以上、ベッド回転数が10%以上などの施設のことをいいます。

表1:1日当たりの従来型老人保健施設サービス費

個室 多床室
従来型 在宅強化型 従来型 在宅強化型
要介護1 695円 733円 768円 812円
要介護2 740円 804円 816円 886円
要介護3 801円 866円 877円 948円
要介護4 853円 922円 928円 1,004円
要介護5 904円 977円 981円 1,059円

表2:1日当たりのユニット型老人保健施設サービス費

個室 準個室
従来型 在宅強化型 従来型 在宅強化型
要介護1 744円 816円 774円 816円
要介護2 819円 890円 819円 890円
要介護3 881円 952円 881円 952円
要介護4 934円 1,008円 934円 1,008円
要介護5 985円 1,063円 985円 1,063円

4-2.老人保健施設の居住費と食費

施設の居住費は利用する部屋によって、表3のように決められています。また、所得の区分によっては減額されます。なお、表4の所得区分に該当して月々の負担額が上限を超えた場合は、超えた分は「高額介護サービス費」として介護保険から支給されます(居住費・食費・日常生活費は対象外です。また、支給を受けるには市町村に申請が必要です)。

表3:介護老人保健施設の日額

基準費用額(日額) 負担限度額(日額)
第1段階 第2段階 第3段階
居住費 ユニット型個室 1,970円 820円 820円 1,310円
ユニット型準個室 1,640円 490円 490円 1,310円
従来型個室 1,640円 490円 490円 1,310円
多床室(4人部屋) 370円 0円 370円 370円
食費 1,380円 300円 390円 650円

表4:高額介護サービス費の所得区分

認定区分 対象者 上限(世帯で
第1段階 生活保護者等 15,000円
世帯全員が市町村民税非課税で老齢福祉年金受給者
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下 24,600円
第3段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超 24,600円
第4段階 市区町村民税課税世帯(第5段階に該当する場合を除く) 37,200円
第5段階 その者の属する世帯内に課税所得145万円以上の被保険者がおり、かつ、世帯内の第1号被保険者の収入の合計額が520万円(世帯内の第1号被保険者が本人のみの場合は383万円)以上 44,400円

4-3.老人保健施設の各種加算

老人保健施設ではそれぞれに配置されている人員や体制、サービス内容などで加算されるようになっています。

加算例

  • 保健施設夜勤職員配置加算:24単位(1日)
  • 短期集中リハビリテーション実施加算:240単位(1日)
  • 認知症短期集中リハビリテーション加算:240単位(1日)
  • 認知症ケア加算:76単位(1日)
  • 初期加算(入所日から30日間に加算される):30単位(1日)
  • 退所前後訪問指導加算:460単位

など。

※基本的に1単位=10円ですが、実際はこれに地域単価をかけて計算します。

4-4. 老人保健施設の費用の計算例

老人保健施設の費用はさまざまな条件によって異なりますが、基本は次の計算を行います。

①施設サービス費+②居住費+③食費+④日常生活費(理美容代など実費を自己負担)+⑤各種加算分=1ヶ月の費用

(事例1)

要介護3のAさん(従来型の個室を利用、負担限度額は第4段階(「基準費用額」が該当)の場合)

  • ①施設サービス費(表1):801円×30日=24,030円
  • ②居住費(表3):1,640円×30日=49,200円
  • ③食費(表3):1,380円×30=41,400円
  • ④日常生活費:10,000円

合計:124,630円+⑤

(事例2)

要介護1のBさん(従来型の多床室(4人部屋)を利用、負担限度額は第3段階の場合)

  • ①施設サービス費(表1):768円×30日=23,040円
  • ②居住費(表3):370円×30日=11,100円
  • ③食費(表3):650円×30日=19,500円
  • ④日常生活費:10,000円

合計:63,640円+⑤

Bさんは所得の区分が第3段階で合計金額が高額介護サービス費の上限の24,600円を超えていますが、居住費・食費・日常生活費は高額介護サービス費の対象外なのでこの場合は63,640円を支払います。もし各種加算分が多くて、①施設サービス費と合わせて24,600円を超える場合は超えた分が高額介護サービス費で支給されます。

このように要介護の程度や負担限度額の段階、利用する部屋などによって費用が大きく違ってきます。どのようにサービスを利用するかケアマネージャーと相談してみましょう。

また、老人保健施設は一生過ごすところではなく、3ヶ月で退所することを目指しています。その後は自宅での介護になるので、ケアマネージャーに相談する場合は居宅介護も視野に入れて考えるといいでしょう。

5.老人保健施設の費用は医療費控除の対象

老人保健施設の費用は医療費控除の対象

老人保健施設を利用する際の費用のうち、

  • 介護費
  • 食費
  • 居住費

として支払った額は「医療費控除」の対象になります。

ただし、日常生活費(理美容代など施設に入っていなくても日常生活で必要になるものの費用)や特別なサービス費用は対象外です。なお、紙おむつの自己負担額は医療費控除の対象になります。

5-1.医療費控除は世帯全体の額で申告すること

医療費控除は介護を受けている本人の負担額だけでなく、その世帯全体で計算します。例えば、老人保健施設に入っているAさんが息子一家と暮らしていた場合、息子家族の医療費も合算して計算します。

【医療費控除の対象】

医療費控除の対象となるのは、(世帯全体で1月1日~12月31日までに支払った医療費)-(生命保険などの給付金)-(10万円または所得額の5%の少ない方)です。ただし、上限は200万円までです。

もしAさんが1年間に負担した老人保健施設の費用が6万円、紙おむつ代が年間2万円で10万円に満たない場合でも、息子一家が5万円の医療費を支払っていたら(生命保険からの給付はないとして)世帯全体の医療費の総額は13万円になり、10万円を超えてしまいます。

そこで、【13万円-10万円=3万円】が医療費控除の対象となります。

ただし、この3万円が何もせず戻ってくるわけではありません。確定申告をして世帯主の所得などから計算して払い過ぎた税金が戻ってくるのです。医療費控除の申告をするのに必要なので紙おむつ代の領収書や家族の病院の領収書、通院のタクシー代の領収書などを保管しておきましょう。

まとめ

老人保健施設は病院で治療を受ける状態が終わり、自宅で日常生活に戻るまでのリハビリ期間として利用する施設です。老人保健施設の特徴を改めて理解しておきましょう。

  • 老人保健施設は要介護1以上の人が利用できる
  • さまざまな機能訓練が受けられる
  • 医師や看護師、介護職員がいるので医療行為も受けられる
  • 入所基準に合致しているかどうか3ヶ月ごとに見直しがある
  • 老人保健施設の費用は要介護の度合いや入所する部屋、負担限度額の段階などによって異なる
  • 老人保健施設の費用は医療費控除の対象になる

老人保健施設は老人ホームと違って長く入ることはできませんが、自宅に戻ってから少しでも自分のことができるように訓練をしてくれます。ケアマネージャーと相談しながら施設を選んで利用するといいでしょう。

老人保健施設とは?サービス内容や料金など気になることをチェック