年金だけでは老後は暮らせない!?老後資金の安全な運用方法とは?

年金だけでは老後は暮らせない!?老後資金の安全な運用方法とは?

公的年金だけで老後生活を過ごすのは難しいと言われています。いつまでも元気で働ければいいのですが、心身ともに老化が進むと収入を増やすことは大変です。そこで考えたいのが老後資金の運用です。

老後資金の準備方法には何があるのか、老後資金の運用の基礎を知っておきましょう。

1.老後生活の不安

老後生活の不安

日本での老後生活は安泰と言えるのでしょうか?

金融広報中央委員会が毎年実施している「家計の金融行動に関する世論調査」(2016年)で20歳以上の二人世帯を調査したところ、「老後の生活について非常に心配である」と答えた人が40.4%、「多少心配である」と答えた人が43.0%、「それほど心配していない」は15.9%で全体の約83%は老後の生活に対して不安を感じているという結果が出ました。

1-1.老後が不安な理由

同じ調査で老後が不安な理由を聞いたところ、「年金や保険が十分ではないから」(73.4%)、「十分な金融資産がないから」(69.9%)という理由が高くなっています。

老後の生活を心配している理由

出典:金融広報中央委員会 平成28年度「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」を基に作成

2.老後生活の資金源の大半は公的年金が頼り!?

老後生活の資金源の大半は公的年金が頼り!?

一方で老後生活の資金源として何を頼りにしているのかを同じ調査で聞いたところ、もっとも多いのは公的年金で全体の約8割近くを占めています。次に多いのが就業による収入で約43%を占め、「定年退職しても働けるうちは働こう」という姿勢がうかがえます。

なお、企業年金や個人年金などを利用している方も4割近くいましたが、運用や不動産投資などで老後資金を補おうという方は少数派であることがわかります。

老後の生活の収入源(3つまでの複数回答)

出典:金融広報中央委員会 平成28年度「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」を基に作成

3.老後資金の準備方法

頼みの綱の公的年金は現在でも財源が厳しいと言われていて、今後受給金額や受給開始時期が見直される可能性があります。老後の資金源として少しでも早くから貯金をしたり、投資をしたりして準備しておくと安心です。

老後資金として準備できる方法には、

  1. 定期預金
  2. 株式投資
  3. 債券
  4. 投資信託
  5. FX
  6. 外貨預金
  7. 個人年金保険
  8. 不動産投資

などがあります。それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介します。

3-1.定期預金

定期預金

定期預金は銀行に一定期間お金を預ける預金方法で、期間は最短で1ヶ月ですが、3ヶ月、6ヶ月、1年など自分で選べます。最長10年という定期預金もあります。

利息は預け入れ期間や預け入れ金額によって異なります。あるネット銀行の定期預金の金利を見てみると、次のようになっています(2016年11月18日現在)。

預け入れ期間 預け入れ金額
1,000円~100万円未満 100万円~1,000万円未満 1,000万円以上
1ヶ月 0.02% 0.02% 0.02%
6ヶ月 0.02% 0.02% 0.02%
1年 0.03% 0.03% 0.03%
5年 0.04% 0.04% 0.04%
10年 0.04% 0.04% 0.04%

出典:楽天銀行 http://www.rakuten-bank.co.jp/interest/details.html#anchor-03

ただ、定期預金の金利は低く、100万円を1年間預けても利息は200円だけです。しかも利息には所得税や復興特別所得税などが20.315% 課税されます。そのため、200円の利息は160円程度になってしまいます。

定期預金でお金を貯めるのは悪いことではありませんが、大きく殖やすのは難しい方法だと言えます。

3-2.株式投資

株式投資は上場している企業の株を購入する投資方法で利益を得るには、

  • 購入した株の株価が上昇したときに売ることで利益を得る方法
  • 配当を得る方法

があります。

株式投資の本来の目的は、企業側が銀行からの借り入れだけでなく株を発行して投資家からも資金を調達するというものです。株を購入した人(投資家)は株主と呼ばれます。株主はその企業を応援する意味で投資し、そのお礼として配当を受け取る権利が与えられます。この配当利益のことを「インカムゲイン」と呼びます。一方、株を売却したときに得られる利益のことを「キャピタルゲイン」と呼びます。

投資した企業が順調に成長して業績を伸ばすと株価も上昇して配当金や売却益が得られますが、不祥事や業績の大幅悪化などで株価が下落することもあります。そのため、株価の動きは常にチェックする必要があります。

株を購入するには最低でも1000株単位以上になっていることが多いのですが、最近は手軽に株式投資が始められるように100株程度で購入できる「ミニ株」もあります。

3-3. 債券

国や地方公共団体、企業などが広く投資家から資金を集めることを目的に発行されるものです。投資する人は発行元に対してお金を貸すという形になります。そのため、発行元は期日が来たら全額返済しなければなりませんし、利息も支払わなければなりません。この利息のことを「分配金」と呼び、半年に1回など定期的に約束された金額が支払われます。満期日には満期金(償還金)が支払われます。この仕組みを利用して複数の債券を時期をずらして購入すれば、年金のように分配金を受け取ることができます。

なお債券は期限(満期日)までに売買することもできます。価格は日々変化しているため、購入時よりも高くなっていれば多くの利益が得られますが、安くなっていると損をします。期限(満期日)まで持っていれば元金は保証されます。

債券には国が発行する国債と、民間企業が発行する社債があり、社債の場合は企業の業績などをチェックする必要があります。会社の業績で利益が左右されることを信用リスクと呼びます。また、外貨建て債券といって米ドルやユーロなどで外国債券を購入するものもありますが、為替変動のリスクを受ける可能性があるので注意が必要です。

3-4. 投資信託

投資信託

株式投資は自分でどの銘柄を買うか選ばなければなりません。購入時期や売却時期などのタイミングも自分で判断しなければならず、投資経験がない人にはハードルが高く感じます。また、債券も種類があって何がいいかわからないという人が多いものです。

そこでおススメなのが投資信託です。投資信託は金融機関が不特定多数の投資家から資金を集めて株式や債券などを運用し、収益金を投資額に応じて分配するというものです。1つの株式などで運用するのではなく複数の運用先に分配投資して運用します。

自分で株式や債券を選ぶ必要がないので、手軽に始められるのがメリットです。運用先は国内・海外の株式、債券、不動産など多岐にわたりますが、各金融機関のプロが運用を行うので素人がするよりも安心感があります。

【投資信託の運用先】

投資信託の種類は運用先によって次のような種類があります。

  • 国内株式型…主に国内株式を中心に分散投資するもの
  • 外国株式型…主に外国株式を中心に分散投資するもの。世界各国を対象に広く投資するものから北米、アジア、欧州など特定の地域に投資するものなどに分かれる
  • バランス型…国内株式、公社債、外国株式など複数の資産にバランスよく投資するもの
  • 転換社債型…主に転換社債型新株予約権付社債に投資するもの
  • インデックス型…日経225連動型やTOPIX連動型などがある
  • 業種別インデックス型…電気、通信、工業など各業種内の株式に投資するもの
  • 派生商品型…先物・オプション等を積極的に活用する方法もの

投資信託は証券会社、銀行などで取り扱いをしていて、中には1000円から始められるものや、NISA(少額投資非課税制度)もあります。NISAは年間投資金額120万円までの利益が非課税になるというメリットがあります。しかも非課税枠は毎年120万円ずつ最大5年間追加できるので、投資額600万円分までは非課税枠が利用できます。

少額から始めてみてはいかがでしょうか。

3-5.FX

FXは「外国為替証拠金取引」と呼ばれるもので、各国の通貨の為替レートの違いを利用して利益を上げるものです。各国の通貨は自国と異なる国と取引をする際に外国為替市場で相手国の通貨に交換をします。その交換比率のことを為替レート(為替相場)と呼び、為替レートは常に変動しています。

例えば日本円と米ドルのケースで考えてみましょう。1ドル100円だったのが110円になることを「円安」、90円になることを「円高」と呼びます。

FXではさまざまな通貨で売買しますが、1ドル=100円のときに1,000ドル買う場合は10万円必要です。この資金のことを証拠金と呼びます。

その後、1ドルが110円になったときに売ると11万円になり、1万円の利益が得られます。逆に1ドルが90円になると手持ちの資金は9万円に減ってしまいます。

このように為替レートの変動を利用して利益が得られるのですが、さらにFXには「レバレッジ」という独特の方法にあります。「レバレッジ」は「てこの原理」のことで、小さな力(この場合は資金)で大きな力(お金)を動かすことを意味しています。レバレッジは最大で25倍まで設定できます。

仮にレバレッジを10倍に設定して10万円の証拠金で1,000ドル買ったとします。1ドルが100円から110円になると10万円の利益が得られるということになります。ただし、為替相場が円安に動いた場合はレバレッジの分だけ損失も大きくなるので注意が必要です。

FXは日本円と米ドルのやり取りだけでなく、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円など世界各国の通貨との取引が可能です。

ただ、為替相場の動きは世界経済などさまざまな要因の影響を受けやすいために素人では判断が難しいと言われています。最初は少額でレバレッジを小さくして取り組むといいでしょう。

3-6.外貨預金

外貨預金

為替レートの変動を利用した資産運用にはFX以外に外貨預金があります。

例えば1ドル=100円のときに米ドルで10万円預金し、1ドル=110円になったときに引き出すと11万円になるという仕組みです。しかも外貨定期預金は日本の定期預金よりも金利が高いものが多いので、利息収入も期待できます。

ただし、円高に動いた場合は元本割れになることがあります。また、預け入れ時と払い戻し時には1ドルあたり25銭~1円の手数料がかかります。トータルで損をしないように行う必要があります。

【外貨定期預金の金利】

外貨定期預金の金利は通貨、預け入れ期間、金融機関によって異なります。いずれも最低預け入れ金額が設定されています。それ以下では預けられないので注意してください。

通貨 金利
預け入れ期間 7日 14日 1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 1年
米ドル 8.0% 4.5% 2.0% 0.7% 0.35% 0.2%
ユーロ 5.0% 2.0% 0.2% 0.02% 0.025 0.12%
豪ドル 15.0% 10.0% 3.7% 2.2% 1.8% 1.8%
英ポンド 8.0% 5.0% 1.0% 0.355 0.2% 0.25%

(2016年11月18日現在)

(出典:楽天銀行 http://www.rakuten-bank.co.jp/assets/forexdep/rate.html

3-7.個人年金保険

個人年金保険は生命保険会社が販売している保険商品のひとつで、死亡時の保障よりも老後の年金資金を貯めることを目的にしています。公的年金は財源が乏しくなると受け取り開始時期や受け取り金額が変更になる可能性がありますが、個人年金保険は契約通りに受け取れます。

個人年金保険には「個人年金保険」と「変額個人年金保険」があり、次のような違いがあります。

個人年金保険 一般勘定で運用 元本と将来の受け取り額が保証されている
変額個人年金保険 特別勘定で運用 払い込んだ保険料を保険会社が運用するが、運用成果によって将来の年金受け取り額や解約返戻金が変動する

どちらも払い込みの途中で死亡した場合は、それまでに払い込んだ金額を死亡保険金として受け取れます。

【個人年金保険の計算例】

30歳男性が60歳まで保険料を払い込み、60歳から10年間毎年72万円を年金として受け取る場合、保険料は毎月18,367円です。

  • 30年間の総払い込み保険料…6,612,120円
  • 60歳からの受け取り総額…720万円

となり、返戻率は108.8%になります。

個人年金保険の年金額は公的年金とは違って確実に受け取れるものです。返戻率は保険会社や保険商品によって異なりますが、比較的多く戻るものが多いようです。ただ、払い込み期間が短くなると保険料は高くなるので、若いころから加入するのがおススメです。

3-8.不動産投資

不動産投資

自分が所有している不動産(一戸建ての家やマンション、駐車場など)を人に貸して賃料を得る方法です。

不動産投資には、

  • 自分の家の一部を人に貸す
  • マンションの部屋を所有し人に貸す
  • 一戸建ての家を人に貸す
  • 自己所有の空き地を駐車場にして人に貸す

といった方法があります。

住宅ローンの支払いが完了した家なら家賃はそのまま収入になりますが、まだ返済中の物件の場合は【家賃収入-住宅ローンの返済=収入】となるので、上手に運用しないと利益が出ない場合があります。また、住宅ローンは金利が低いのがメリットですが、自己所有の住まい専用のローンなので賃貸用に物件を購入する場合はアパートローンなどやや金利が高いローンを使う必要があります。

ローンの返済以外にも修繕費や管理費がかかりますし、空室のリスクもあるので、賃貸用物件を購入するなら都市部や駅の近くなど人気エリアで探すことがポイントです。

3-9.投資方法の比較

それぞれの投資に必要な最低資金、メリット・デメリットやリスクの有無などを理解しておきましょう。

運用方法 最低資金 メリット デメリット
定期預金 1,000円~ 元本割れのリスクがない 金利が低いためほとんど殖えない
株式投資 ミニ株の場合、1万円程度~
  • 売却益と配当金が受け取れる
  • 株主優待があるものもある

 

  • 元本割れのリスクがある
  • 売買のタイミングを見極めるのが難しい
  • 銘柄選びが難しい
債券 国債の場合、1万円~ 満期まで保有すれば元本が保証される
  • 外貨建て国債は為替変動リスクがある
  • 社債は業績悪化などの信用リスクがある
投資信託 1,000円~
  • 少額から始められる
  • 運用をプロに任せられる
株価や為替などの変動により元本割れする可能性がある
FX 1万円~(証券会社によっては1,000円~も可能) レバレッジを利用することで少額で大きなリターンを得ることが可能
  • 売買のタイミングを見極めるのが難しい
  • レバレッジを利用することで損失が大きくなる
外貨預金 1万円~(通貨、銀行によって異なる) 国内の定期預金よりも金利が高い
  • 為替変動によって元本割れすることがある
  • 手数料がかかる
個人年金保険 毎月の保険料として1万円程度~
  • 元本割れすることがない
  • 年金として確実に受け取れる
  • 払い込み期間が長い
  • 途中で解約すると損をすることがある
不動産投資 物件購入費用または手持ちの物件の修繕費用など 手持ちの物件を利用すれば費用が少なくて始められる
  • 物件を入手するための費用がかかる
  • 管理費や修繕費がかかる
  • 空室リスクがある

このように安全な投資方法はリターンが少ないし、リターンが多いものはリスクも多いとそれぞれに一長一短です。自分の状況や手持ちの資金などを考え合わせて運用方法を考えてみましょう。

4.詐欺に注意

「少しでも老後の資金を作ろう」「子どもにお金のことで迷惑をかけたくない」といった思いから、老後の資金のために運用をするのは悪いことではありません。しかし、その心理を突いた詐欺が多発しています。詐欺の手口は以下のようにどんどん巧妙になっているので、本人だけでなく家族も注意が必要です。

4-1.詐欺の種類

次のように口座に振り込みさせる「特殊詐欺」が多発しています。

4-1-1.振り込め詐欺

  • オレオレ詐欺…息子や孫になりすまして指定した口座にお金を振り込むように指示するもの
  • 架空請求詐欺…有料サイトの利用料などを請求して口座に振り込ませるもの
  • 融資保証金詐欺…電話などで融資話を持ち掛けて口座に振り込ませるもの
  • 還付金詐欺…税務署や年金事務所を名乗って還付金手続きのためとだましてATMの操作を指示して振り込ませるもの

4-1-2.振り込め詐欺以外の特殊詐欺

  • 金融商品等取引名目詐欺…「必ず儲かる」と書いたパンフレットなどを送付して登録料や購入料を振り込ませるもの
  • ギャンブル必勝情報提供名目詐欺…パチンコ必勝法や宝くじの当選番号を教えるといった手口で登録料や情報提供料を振り込ませるもの

くれぐれも「うまい話」にはご注意ください。

4-2.認知症高齢者を狙う詐欺に注意

認知症の高齢者の家を訪問して高額のリフォーム契約をしたり、布団セットを購入させたりといった詐欺が増えています。

また、連帯保証人になって借金を背負わされたといった被害も出ています。家族は印鑑を置いておかない、不審な書類があればすぐにクーリングオフをするなどの対策をしましょう。認知症の人は成年後見制度を利用すると、このような被害に遭った場合に契約の取り消しなどをしてくれます。本人の財産を守るためにも成年後見制度を利用するといいでしょう。

まとめ

多くの人が老後資金には公的年金をあてにしていますが、その反面それだけでは足りないと不安を感じています。そこで考えたいのが老後資金の運用です。ただ、運用にはさまざまな方法があり、それぞれのメリットとデメリットを理解してから始めることが大切です。

  • 老後資金の運用には定期預金、株式投資、債券、投資信託、FX、外貨預金、個人年金保険、不動産投資などがある
  • 定期預金は低金利のためリターンが少ないが、元本保証されている安全な運用方法である
  • FXや外貨預金は為替の変動リスクを受けるため、運用には注意が必要である
  • 少額から始められる投資信託やNISA、ミニ株などで投資や運用に慣れるのもひとつの方法である
  • 個人年金保険は返戻率が高いが、高齢になってから加入すると保険料が高くなるので若いころから始めるのがおススメ

また、振り込め詐欺や特殊詐欺などが増えているので、注意が必要です。運用方法を考えると同時に支出を減らす工夫もしてみましょう。

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