介護職として働く女性の悩み~結婚、妊娠、仕事の現状

介護職として働く女性の悩み~結婚、妊娠、仕事の現状

介護現場の労働者の中で女性が占める割合は79%と高いものの、体力が必要、休みが取りにくい、賃金が低いといったイメージがあるのも事実です。結婚や妊娠・出産しても働き続けられるのでしょうか。

実際に介護現場で働いている女性の悩みや現状を、さまざまな角度から見てみましょう。

1.介護職で働く人の状況

高齢化社会に向かう中、介護現場ではさらに人材が必要となりますが、重労働に加えて低賃金などの理由で離職率が高く慢性的な人手不足が問題になっています。

1-1.介護職は女性が多い

介護の現場で働く人の男女差を見てみると、介護職員の75%、訪問介護員の88.9%が女性です。介護労働者全体の79%が女性で圧倒的に女性が多い業界であることがわかります。

介護労働者等の性別

出典:平成21年度介護労働実態調査((財)介護労働安定センター)、労働力調査(平成21年平均、総務省)

1-2.介護職で働く人の年齢

介護職として常勤で働く人の平均年齢は平成21年の調査では44.6歳で、全産業の平均年齢である41.1歳よりも高い結果が出ています(平成21年の調査)。特に訪問介護員(ホームヘルパー)は50代がもっとも多く、比較的年齢層が高い傾向があります。このことからも介護職は年齢層が高い人でも働きやすい環境だと言えますが、若い人には厳しい環境であると考えられます。

介護労働者の属性

出典:平成21年度介護労働実態調査((財)介護労働安定センター)、労働力調査(平成21年平均)(総務省)

1-3.介護職で働く人の離職率は16.8%

介護職の人材不足は離職率が高いことがひとつの要因だと言えます。平成25年10月~平成26年9月までの採用率と離職率の調査結果を見ると、全産業の常勤の離職率が12.4%なのに対して介護職員は16.8%と高くなっています。しかも、介護職員は採用率が21.8%もあるのに辞めていく人が多いのが現状です。

また、常勤の介護職員(ホームヘルパー)の平均勤続年数は4~5年で全産業の11~12年よりもかなり低くなっています。

1-4.介護の仕事を辞めた理由

介護労働安定センターが介護の仕事を辞めた理由を聞いた結果、多かったのは「事業所の理念や運営のあり方に不満(24.4%)」、「職場の人間関係(23.8%)」という声が最も多く、意外にも「重労働」という理由ではありませんでした。

介護の仕事を辞めた理由

2.介護の仕事は本当に大変?

世間の人が見た「介護の仕事」とは、どんなイメージなのでしょうか?世論調査の結果を見てみましょう。

2-1.介護の仕事のイメージ

内閣府が行った介護職のイメージに関する世論調査では、やはり「夜勤などがありきつい仕事」というイメージを持つ人がもっとも多く65%でした。「社会的に意義がある仕事(58.2%)」や「やりがいがある仕事(29%)」「自分自身も成長できる仕事(18%)」とポジティブなイメージを持つ人がいる反面、「給与水準が低い仕事」と答えた人は54.3%もいます。

介護職に対するイメージ

出典:内閣府「介護保険制度に関する世論調査」(平成22年)

2-2.介護の仕事を選ぶ人は「やりがいを求めて」

一方で介護の仕事に就いた人は介護職を選んだ理由として

  • 働きがいがある仕事だと思った(52.6%)
  • 資格・技能が活かせるから(36.2%)
  • 今後もニーズが高まる仕事だから(35.3%)
  • 人や社会の役に立ちたいから(32%)
  • お年寄りが好きだから(25.6%)

という理由をあげています。

これらのことから、介護職として働いている人は大変な仕事であることは承知しているが、やりがいを感じ、高齢者や社会の役に立ちたいと希望を持って職に就いていることがわかります。

ただ、職場の人間関係や事業所の運営に加えて賃金が低いことで離職していると考えられます。

3.介護職は女性にとって働きやすい職場?

介護職は約8割が女性という業界ですが、離職率が高いという現実があります。女性ならではの細やかさが活かせる反面、働きにくい側面があるのでしょうか。

3-1.介護の仕事と家庭の両立の悩み

介護の仕事に就いている人を対象に仕事と家庭の両立が可能かどうかを聞いたところ、63.3%が「両立はできない」と答えています。

仕事と介護は両立できますか

出典:(財)介護労働安定センター 「介護労働実態調査」(平成26年)

両立できない理由としてもっと多かったのは、「休んだときに自分の仕事を代わりに担当できる人がいない」というもので41.3%でした。

なお、両立できると答えた人の答えからは「突然の残業がほとんどない」「日ごろから有給休暇が取りやすい」「勤務先の介護休暇制度を知っている」など、勤務先の福利厚生が充実している様子がうかがえます。

3-2.介護職の女性の悩み

介護職として働く女性の悩みをご紹介しましょう。

3-2-1.利用者と事業所のルールの間で板ばさみになる

訪問介護では利用者(要介護者)の洗濯を行いますが、家族の分はサービスに含まれません。しかし、「これも一緒にお願い」と言われると断り切れません。特に家族も高齢の場合は「これくらいしてあげてもいいだろう」と思うのですが、1度引き受けると「毎回やってくれる」と思われそうで不安です。

3-2-2.セクハラまがいの行動がある

男性の利用者から「体を触られた」「抱きつかれた」といったものや「ひわいな言葉をかけられた」といったケースがあり、困ります。

3-2-3.利用者とのコミュニケーションの取り方が難しい

自分はせっかちな性格でつい早口になってしまいます。利用者の方から「早口で何を言っているのかわからない」と言われ、ショックでした。また、利用者の要望がうまくつかめずに悩むことが多いです。

介護の仕事は幅広く、しかも奥が深いだけに悩みは複雑で多岐にわたります。こういった悩みはひとりで抱えないで、上司に相談しましょう。

4.女性が介護職として長く働くためには

介護職は40代、50代でも女性が活躍できる仕事ですし、実際多くの方が働いています。特に勤続年数が長くなるほど資格取得者の割合が高いことがわかっています。

また、給料の面でも資格がある方が有利になります。

4-1.介護職の資格と給料の関係

(財)介護労働安定センターが調べたところ、介護系の資格の有無で平均給与に大きな差があることがわかりました(勤続年数や年齢などの条件で差がありますが、平均値としてご覧ください)。

<1ヶ月の平均月給>

保有資格 平均実賃金
介護福祉士 232,193円
ホームヘルパー2級 206,450円
介護支援専門員 274,527円
看護師・準看護師 273,899円
無資格 196,831円

これは平成21年の調査なので資格名が古いですが、資格がある人とない人では給与がかなり違います。

最近は介護職の人材を確保するために働きながら介護資格を取得できるように支援する仕組みや介護福祉士・社会福祉士の養成施設に入学する人に修学資金を貸し付ける制度などが充実しています。ハローワークや市町村でも相談に応じていますので、相談してみましょう。

また、介護の資格に興味のある人は「【介護の資格一覧】現場で有利な資格や取得の難易度を解説」も読むことをお勧めします。

4-2.育児・介護休暇を使おう

女性はどんな職業で働くにしても、結婚、出産、家事との両立、親の介護などさまざまな問題を抱えることになります。もちろん配偶者や家族の協力も大切ですが、有給休暇や育児休業・介護休業制度を利用することで長く働くことができます。

4-2-1.有給休暇

正社員だけでなくパートやアルバイトでも有給休暇は取得できます。

<正社員の有給休暇>

(労働時間が週30時間以上、労働日数が週5日以上の人または1年間の労働日数が217日以上の労働者)

雇われた日からの勤続期間 有給休暇の日数
6ヶ月 10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
3年6ヶ月 14日
4年6ヶ月 16日
5年6ヶ月 18日
6年6ヶ月 20日
以降毎年 20日

<パートタイムの有給休暇>

(週の所定労働時間が30時間未満の労働者)

雇われた日からの勤続期間 有給休暇の日数
週4日労働 週3日労働
6ヶ月 7日 5日
1年6ヶ月 8日 6日
2年6ヶ月 9日 6日
3年6ヶ月 10日 8日
4年6ヶ月 12日 9日
5年6ヶ月 13日 10日
6年6ヶ月 15日 11日
以降毎年 15日 11日

4-2-2.育児休業

産前・産後に休みが取れます。「産休」は出産予定日前の6週間と出産翌日から8週間が対象ですが、医師の許可があれば産後6週間以降から働くこともできます。

一方、育児休業は産休終了の翌日からスタートし、1歳の誕生日の前々日まで取得できます。ただし、保育園に入れなかったとか、誰も子育てをしてくれる人がいないという場合は最長で4ヶ月(1歳6ヶ月まで)延長できます(公務員や企業によっては最長3年まで育児休業が取得できるところもあります)。

産休期間中と育児休業中は、基本的には給料は支払われませんが、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。

【育児休業給付金】

育児休業の最初の180日間は給料(ボーナスや残業代・各種手当てなどを含めた額)の67%、それ以降は50%が支給されます。※ただし、給付額には上限があります

なお、育児休業はパートタイマーでも、「雇用保険に1年以上加入している人」「育児休業に入る前の2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある人」は取得できます。

4-2-3.介護休業と介護休暇

介護休業は家族が要介護状態になったときに取得できるもので、対象の家族1人に対して1回だけ93日まで取得できる制度です。この期間は休業開始前の平均賃金の40%が介護休暇給付として支給されます。

一方、介護休暇は要介護状態にある家族の介護のために1年間で5日取得できます。対象の家族が2人以上の場合は1年間で10日取得できます(育児・介護休業に関しては今後法改正が行われる可能性があります)。

まとめ

介護職として女性が働くのは「身体がきつい」「賃金が低い」というイメージが先行していますが、実際はやりがいがある仕事です。また、低賃金に関しては、今後は介護労働者の人材確保のために給与の見直しがあると思われます。資格を取得すればさらに給与UPが見込めます

女性が介護職とし働くためのポイントをまとめました。

  • 介護職の現場は女性が約8割
  • やりがいを持って職に就くが事業所の方針や職場の人間関係、低賃金で辞めていく人が多い
  • 長く勤めている人は有資格者が多い
  • 資格を持っていると高収入が期待できる
  • 家庭との両立のためには有給休暇や育児・介護休業をうまく活用するといい

日本全体で労働人口が減少している上に高齢化社会の到来で、介護職のニーズはますます高まっていきます。有利な資格を取得してイキイキと働けるようにしましょう。

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