老人ホームのレクリエーションの内容と目的、デメリットを紹介

老人ホームやデイケアセンターなど高齢者施設では、利用者である高齢者に楽しんでもらうためのレクリエーションを取り入れています。リハビリを兼ねて行われるものが多いのですが、レクリエーションを通して他の利用者の方と仲良くなったり、新たな趣味を見つけたりといった生きがいの発見にもつながっています。

ここでは老人ホームをはじめとする高齢者施設で行われているレクリエーションについて詳しくご説明していきます。

1.老人ホームのレクリエーションの目的

老人ホームは家庭で介護ができなくなったから仕方なく預けるところと思われがちですが、決してそうではありません。家庭の中では昼間ひとりぼっちで過ごしたり、老夫婦だけで会話が少ない生活をしたりといった方が老人ホームや高齢者施設に行くことで身体を動かし、脳を刺激して老化を防ぐ働きがあります。

また、施設のスタッフやほかの利用者との会話で表情が明るくなる方もいます。そのため手先や指先を動かすものの他に、次のようにさまざまなレクリエーションを取り入れています。

1-1.老人ホームのレクリエーションはバラエティが豊富

老人ホームのレクリエーションとひと口で言っても、その内容は次のようにさまざまなものがあります。

  • 指先を動かすもの……折り紙・手芸・塗り絵など
  • 身体を動かすもの……足踏み、両手を上げる、ボールを転がすなど
  • 頭を働かせるもの……クイズ、なぞなぞ、連想ゲーム、囲碁・将棋など
  • 人と交流するもの……指相撲、ボールを渡すリレー、チームでクイズを考える、チームでパズルを完成させるなど
  • 音楽を楽しむもの…カスタネットなど小さな楽器を演奏する、盆踊り、懐メロを歌うなど

それぞれにメリットがありますが、要介護の状態や心身の状態などに合わせて選ぶようにしています。

1-2.季節の行事に合わせた老人ホームのレクリエーション企画

老人ホームでは年中行事に合わせたレクリエーションの企画を立てています。その内容についてみていきましょう。

時期 行事 内容 配慮する点
1月 お正月・新年
  • ホーム内に作られた神社にお参りして初詣気分を味わう
  • おみくじを引く(中身は施設のスタッフが準備する)
  • 書初めをする
  • お雑煮は餅をのどに詰めないように注意する
  • 神社の初詣などは宗教に配慮する
2月 節分 豆まきの豆を入れる箱(ます)を作る→折り紙で折る・または紙パックを利用してますを作り、貼り紙で模様をつける

  • 職員が鬼の面をかぶって高齢者が豆をまく
  • 鬼と記念撮影
  • 豆を食べるときは固いのでそのまま飲み込まないように注意する
  • 炒った豆は消化が悪いので煮豆にする
3月 ひなまつり
  • 折り紙でひな人形を作る
  • ひなあられを入れる箱を折り紙で作る
  • ちらし寿司を出してひなまつりパーティをする
  • 抹茶と和菓子を味わう
  • 女性の高齢者はメイクをしてあげる
ひなあられを飲み込まないように注意する
4月 お花見 施設の外に出かけて花見をする
  • 車いすでも行けるところかどうか下見をしておく
  • 高齢者はトイレが近いので、花見場所の近くにトイレがあるかどうか確認しておく
  • 花見というとお酒を期待する人が多いので、可能ならばお酒と花見用のお弁当を準備する
5月 こいのぼり
  • 折り紙でこいのぼりを作る
  • 「子どもの日」用に孫にプレゼントを作る
子どもがいない人に配慮する
6月 梅雨
  • 室内で体を動かす
  • 折り紙を切って(または和紙をちぎってちぎり絵のようにして)あじさいの花を作る
  • さつまいもの苗を植える
7月 七夕
  • 折り紙で七夕飾りを作る
  • 短冊に願いことを書く
  • 七夕の集い(カラオケ大会や音楽グループを呼んで演奏会を行う)
8月 納涼祭
  • 盆踊り(7月に入ってからリハビリを兼ねて盆踊りの練習をする)
  • 俳句や川柳を披露する
  • 室内の飾りつけをする
  • 家族を招いて納涼祭をする(ヨーヨー釣りや軽食の屋台などを出す)
9月 お月見
  • 月見団子を作る
  • すすきを取りに行く
  • お月見会をする
  • 日中は暑いので熱中症に注意する
  • 月見団子をのどに詰めないように注意する
10月 運動会
  • 玉入れ(車いすの人は車いすに乗ったまま投げる)
  • 借り物競争(すぐに見つかるものを書いた紙を置いておき、拾った人が探してゴールする)
11月 いも掘り

文化祭

  • 6月に植えたさつまいもを掘る
  • 絵画やちぎり絵、手芸などの作品を展示する
  • 音楽の演奏をする
12月 クリスマス

餅つき

  • クリスマスツリーやリースを作る
  • クリスマス会で演奏を披露したり、音楽グループを招いて音楽鑑賞をする
  • スタッフが餅つきをする
餅をのどに詰めないように注意する

2.老人ホームのレクリエーションの内容

先ほどもご紹介した通り、老人ホームのレクリエーションには「指先を動かす」「身体を動かす」「頭を働かせる」「人と交流する」「音楽を楽しむ」など多くの目的があります。それぞれの具体的な内容を見てみましょう。

2-1.指先を動かすレクリエーション

指先を動かすレクリエーション

指先を動かすと脳に刺激を与えるといわれています。車いすに乗っている方や歩くのが難しい方でもできるレクリエーションは多くの老人ホームで取り入れられています。主な内容には次のようなものがあります。

2-1-1.折り紙

折り紙は幼稚園児でもできる簡単なものから複雑なものまでさまざまです。高齢者の中には簡単な折り紙は「幼稚だから」と嫌がることがあります。その場合は少し高度なものをすすめます。また、認知症の傾向がある方には、同じパーツをいくつも作ってスタッフがそれを組み合わせてひとつの大きな作品にすることもあります。

2-1-2.手芸

刺繍や編み物などは指先と頭を使います。若いころに手芸をやっていた人は昔を懐かしく思いながら取り組まれますし、初めてという方には簡単な作品からスタートします。お孫さんへのプレゼント作りなどはやりがいを持って取り組む方が多いようです。

2-1-3.塗り絵

「大人の塗り絵」が流行っていますが、指先や頭を使う効果以外に気持ちをリラックスさせる効果があるといわれています。黙々と色を塗ることで、集中力や精神的な落ち着きが得られます。

2-1-4.ちぎり絵

さまざまな色の和紙を指でちぎって台紙に貼っていくものです。完成後の構図を考えながら和紙を貼っていくので、指先と頭を使います。

2-2.身体を動かすレクリエーション

身体を動かすレクリエーション

身体を動かすレクリエーションには「足を動かすもの」「腕を動かすもの」「バランス感覚を養うもの」などがありますが、いずれも寝たきりの防止や心肺機能を高める、血行をよくするといった効果があります。いくつかご紹介しましょう。

2-2-1.お手玉投げ

玉入れのように少し高いかごにお手玉を入れます。または砲丸投げのようにスタート地点からどこまで遠くにお手玉を投げられるか計測します。(1メートルごとに床にテープを貼っておいて計測します)

2-2-2.新聞紙の玉入れ

新聞紙を手で丸めてお手玉を作ります(握力向上の効果があります)。数人のチームに分かれて、輪になってイスに座り、真ん中にごみ箱を置いて、丸めた新聞紙のお手玉を投げ入れて数を競います。

2-2-3.風船のバレーボール

部屋の真ん中にバレーボール用のネットを張り、風船をボールに見立ててバレーボールをします。ふわふわして意外とネットを越えるのが難しく、盛り上がります。

2-2-4.手遊び

「赤あげて白下げて」と両手に持った旗を指示通りに上げ下げするゲームです。

2-3.頭を働かせるレクリエーション

頭を働かせるレクリエーション

折り紙や塗り絵などは、男性は嫌う傾向があります。ところがクイズなど頭を使うことは張り切って参加されます。特に歴史や地理などに詳しい方は喜ばれます。

2-3-1.クイズ

「なぞなぞ」ではなく、歴史や地理、経済ニュースなどを答えてもらう内容にします。

 (例)

  • 関ケ原の合戦で勝ったのは誰?
  • 鎌倉幕府を開いたのは誰?
  • リンゴの生産地で有名なところは?

など、参加者のレベルに合わせた問題を選ぶのがコツです。

また、チームに分かれて「にんべんのつく漢字」「さんずい編の漢字」などいくつ書けるかを競い合うクイズも盛り上がります。

2-3-2.なぞなぞ

「難しいことはわからない」というタイプの人に受けるのが「なぞなぞ」です。小学校低学年のなぞなぞの本などから選んで出題します。「な~んだ!」と大笑いすることでふさぎがちな気持ちを明るくする効果があります。

2-3-3.トランプ

神経衰弱は記憶力を高める効果があります。参加者のレベルに合わせて枚数を調整します。

2-3-4.将棋や囲碁

特に男性に人気があります。

2-4.人と交流するレクリエーション

人と交流するレクリエーション

高齢になると家や部屋に引きこもりがちになります。少しでも人と交流する機会を増やすためにレクリエーションは役立ちます。

2-4-1.指相撲

指先の力をつける効果と、相手と競い合うことで意欲がわく効果が得られます。

2-4-2.チームで競うゲーム

ボールを渡すリレーやチームでパズルを完成させるなどを行います。お互いに相談したり、励まし合ったりすることがいい刺激になります。

2-5.音楽を楽しむもの

音楽を楽しむもの

カスタネットやタンバリンなど身体に負担を与えず、簡単に扱える小さな楽器を演奏します。指先や手を動かすことで身体機能を高めますし、リズムに合わせることで脳を刺激します。音楽によるリラックス効果や気分を明るくする効果などもあります。

2-5-1.盆踊りや簡単なダンス

身体に負担のない範囲で踊りやダンスを取り入れています。

2-5-2.懐メロのカラオケ

声を出すことはストレス発散になります。

このようにレクリエーションには多くの種類があり、それぞれに得られる効果があります。

3.老人ホームでのレクリエーションの効果

老人ホームで行われているレクリエーションには簡単なものが多いのですが、どれも精神的にも身体的にも多くの効果があります。

3-1.自宅ではできないことができる

自宅で暮らしている高齢者の方は、意外と運動をする機会が少ないのが現実です。散歩や買い物、畑に行くなどの軽い運動を日常的に行っている方もいますが、特に用事がないと家にこもりっきりというケースが多くみられます。

ところが老人ホームでは毎日の日課として簡単な体操や運動の時間を設けています。少しずつでも身体を動かすことで筋力がつき、寝たきりを防ぐことができます。

3-2.脳の刺激になる

自宅ではテレビを見るだけという方が多いのではないでしょうか。老人ホームではさまざまなレクリエーションを通して脳に刺激を与えることができます。今までにやったことがない趣味に取り組む方もいらっしゃいます。「今日はここまでやろう」「これを○日までに仕上げよう」と決めることでやりがいが生まれ、頑張る意欲につながります。集中力がつくことも大きなメリットです。

また、ひとりなら「出来ない!」と投げ出してしまうことも、老人ホームならスタッフが励ましてくれます。「ここはお手伝いするね」と難しいところをやってもらうことで投げ出すことなく最後までやり遂げられます。

スタッフや周囲の人にほめられることも生きる力になっています。

4.老人ホームのレクリエーションにデメリットはある?

老人ホームのレクリエーションのメリットばかりをお伝えしてきましたが、デメリットはないのでしょうか?

4-1.老人ホームのレクリエーションは各自のレベルに合わせるのが難しい

保育園や幼稚園、学校は同じ年齢、同じレベルの人が集まっていますが、老人ホームなどの高齢者施設はそういうわけにはいきません。身体能力や機能、認知症の程度や介護状態などは人さまざまです。そういった高齢者に対して同じことを行うと、弊害が生まれます。

 デメリットの例

  • 「こんな幼稚なことはしたくない」という気持ちが芽生え、「年寄りをバカにしている」と反発される可能性があります。
  • 「自分はこんなこともできない」と落ち込むことがあります
  • いつも同じ人ばかりが目立つので、ほかの人はおもしろくないと感じることがあります。集団で何かをすると自分をアピールする人が出てきますし、上手にできる人が注目される傾向があります。

4-2.老人ホームのレクリエーションをする際の注意点

そこでこういったデメリットを避けるために、老人ホームなどの老人施設では次のような配慮をしています。

4-2-1.各自のレベルに合わせたレクリエーションを勧める

学校の授業のように「この時間は折り紙をします」ということではなく、「今日は折り紙をしてみましょうか」「○○さんはこの前クイズによく答えていたけれど、クイズの問題を一緒に考えてくれませんか?」などその人のやる気を引き出すように個別に対応をします。

4-2-2.個人を尊重する

声かけをするときはその人の名前で呼んで、「○○さんはこれが詳しいんですよ」と引き立てたり、「△△さんが若いころはどうでしたか?」など、一人ひとりを立てるようにします。

4-2-3.公平に接する

高齢者は子どもと同じで「自分にもっと注目してほしい」「自分をかまってほしい」と思っています。だからと言ってアピールする人ばかりに接していると、そうでない人はひがんでしまいます。そうならないためにも老人ホームでは公平に接するように心がけています。

また、安全性に配慮してレクリエーションを行っています。

まとめ

老人ホームや高齢者施設では、身体機能を高めたり、脳を刺激したりといった目的でさまざまなレクリエーションを取り入れています。主な特徴は次の通りです。

  • 老人ホームのレクリエーションは季節や年中行事に合わせて企画を考えている
  • 指先を使うもの、身体を使うもの、頭を使うもの、人と交流するもの、音楽を楽しむものなどバラエティに富んでいる
  • 老人ホームのレクリエーションは指先や身体機能の維持や向上に役立つ
  • 個人差があるが不満が出ないようにスタッフが配慮している

このように多くのメリットがあります。また、「幼稚だからやりたくない」「ひとりで過ごすのが好き」といった個人の思いに寄り添った配慮をしているので安心してお任せできます。老人ホームの利用を考えている方は、レクリエーションの写真を見せてもらったり、施設を見学させてもらったりするといいでしょう。

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