これって認知症かも?疑いのある6つの初期症状とチェック方法

これって認知症かも?疑いのある6つの初期症状とチェック方法

現在、日本では65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症患者またはその予備軍だと言われています。自分や家族が認知症になったら!?

気になる認知症の初期症状とチェック法をご紹介します。

1.認知症の患者と予備軍の数

認知症の患者と予備軍の数

厚生労働省の発表によると2012年現在での日本の認知症の患者数は約462万人で、これは65歳以上の高齢者の約7人に1人の割合になっています。さらに認知症の予備軍(軽度認知障害)を含めると65歳以上の約4人に1人というデータが出ています。

しかも、推計では2025年には認知症の患者数は約700万人前後に増えると見込まれ、65歳以上の5人に1人は認知症患者になると言われています。2025年はいわゆる団塊の世代が75歳以上になる年であることからも、認知症患者数の増加が懸念されています。

1-1.認知症は早期発見、早期治療が大切

認知症にはさまざまな原因がありますが、もっとも多いのがアルツハイマー型で認知症全体の約60%を占めると言われています。次に多いのが脳血管性認知症で全体の約20%、そしてレビー小体病の約10%、その他の要因に分かれます(東京都「知って安心 認知症」)。

認知症は発症すると治らない病気のようなイメージがありますが、実はアルツハイマー型認知症は治療で進行を抑えることができることがわかっています。それ以外の場合も早めに受診して原因を突き止め、治療を受ければ症状が改善することがあります。

一方で介護サービスを受けることで生活面での支障を軽減することができます。そのためにも、認知症の早期発見と治療は大切です。

2.認知症の初期症状とは?

では、認知症の初期症状にはどのようなものがあるのでしょうか?認知症の初期症状はさまざまで認知症を引き起こす原因によっても症状は異なりますが、大きく分けると「周辺症状(心理症状と行動症状)」「中核症状(記憶障害や見当識障害など)」の2つです。

それぞれの特徴を見てみましょう。

2-1. 認知症の初期症状~周辺症状

もの忘れがひどくなったという記憶障害などは「中核症状」と呼ばれるもので、認知症を疑うきっかけになります。しかし、それ以外にも認知症の初期では気分が落ち込むとか、暴力的になるといった症状が見られることがあります。これらを「周辺症状」と呼び、心理症状と行動症状に分けられます。

2-1-1.心理症状

心理症状

心理症状には、やる気がなくなる無気力や無関心、気分の落ち込みなどがあります。一見、うつの症状に似ていますが、特に脳の萎縮や血管障害などで発症する認知症ではこのようなうつの症状が出やすいと言われています。また、アルツハイマー型認知症の初期症状では約20~40%の割合でうつ症状がみられます。

一方で現実にはいない人やモノが見える「幻視」やそこにいない人の声などが聞こえる「幻聴」も認知症の初期に現れます。

2-1-2.行動症状

大声を出したり、暴力を振るったりするのが行動症状です。今まで穏やかだった人が急に暴力的になったり、暴言を言ったりする場合は認知症の疑いがあります。また、同じ動作を繰り返す多動や出かけて行先がわからなくなる迷子や徘徊なども認知症の行動症状のひとつです。

2-2.認知症の初期症状~中核症状

認知症の初期症状~中核症状

「中核症状」には記憶障害や見当識障害、言語障害などがあります。

記憶障害は食事をしたのに「食べていない」と主張するタイプのことです。「ゆうべは何を食べたか思い出せない」というのは加齢による物忘れで「食べたこと」は覚えています。しかし、認知症の記憶障害では「食べたこと」そのものを忘れてしまいます。

見当識障害は日時がわからなくなるというもので、「今日が何月何日かわからない」というものです。季節もわからなくなるため、季節外れの服装を平気で着用したりします。

ただ、見当識障害は軽度の認知症ではあまりみられないと言われています。

2-3.認知症初期症状の6つの特徴

公益社団法人「認知症の人と家族の会」では、家族が早期発見できるように初期症状の目安として6つの特徴をあげています。

  1. もの忘れがひどい…同じことを何度も言う、いつも探しものをしているなど
  2. 判断・理解力が衰える…料理や計算、運転のミスが目立つ、新しいことが覚えられないなど
  3. 時間や場所がわからない…慣れた道で迷う、約束の日時や場所を間違えるなど
  4. 人柄が変わる…怒りっぽくなる、乱暴な言葉や行動が増えるなど
  5. 不安感が強い…ひとりになるとさびしがる、ささいなことを心配するなど
  6. 意欲がなくなる…好きだったテレビを見ようとしない、着替えずにじっとしているなど

本人が「最近、おかしい」と感じることもありますが、家族も様子を見て異変がないか気にかけてあげましょう。

3.認知症初期症状のチェックリスト

「認知症かも知れない」と思ったら、病院に行く前に自分や家族でチェックしてみましょう。ここでは東京都が都民向けに公表している資料からチェックリストをご紹介します。このチェックリストの結果はあくまでも目安ですが、合計点数が20点以上の場合は、認知機能や社会生活に支障が出ている可能性があります。一度、医療機関で相談してみましょう。

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出典:「知って安心 認知症(東京都)

4.認知症の初期症状の診断はどこで?

セルフチェックや周囲の人の指摘で認知症が疑われる場合は、どこを受診すればいいのでしょうか?窓口は次のようにいくつもあります。

4-1.地域の相談窓口

地域の相談窓口

早期の段階では認知症なのか、単なる物忘れなのかわからないということがあります。また、家族は認知症を疑っていても、本人が医院での受診をいやがるケースもあります。そういうときは地域包括支援センター(地域によっては名称が異なる場合があります)や市町村の相談窓口で相談できます。

役所に電話をして「認知症のことで相談したい」といえば担当の部署につないでくれます。また、保健センターや福祉センターなどでも相談を受け付けています。気軽に聞いてみましょう。

4-2.かかりつけ医を受診する

かかりつけ医を受診する

厚生労働省では脳神経内科など認知症の専門ではない内科の開業医などを対象に「かかりつけ医認知症対応力向上研修」や「認知症サポート医養成研修」などに力を入れています。地元のサポート医を探すには、都道府県のホームページで「認知症サポート医」と検索して調べることができます。

そちらの医院を受診してもいいですし、まずは行き慣れているかかりつけ医院で相談して、専門医を紹介してもらってもいいでしょう。

4-3.認知症専門医を受診する

病院によって名称が異なりますが、「認知症外来」や「もの忘れ外来」「神経内科」「脳神経外科」「老年科」などで認知症の相談や診断を受けることができます。

多くは総合病院や大学病院の中、または心療内科医院や精神科病院などの中にあります。大きな病院では紹介状がないと初診時に3000円~5000円かかる場合があります。まず近くのかかりつけ医で相談して紹介状を書いてもらってから受診するのがオススメです。

5.厚生労働省の認知症対策「新オレンジプラン」

認知症の対応は個人では早期発見や早期治療が大切ですが、国も対策に取り組んでいます。

急速に進む高齢化社会に向けて、厚生労働省は2012年に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」をスタートしました。それをさらに見直して「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて(新オレンジプラン)」を立てています。「新オレンジプラン」にはさまざまな取り組みが盛り込まれていて、対象期間は2025年までですが当面は2017年度末を目標に進められています。

5-1.新オレンジプランの内容

新オレンジプランの主な内容は次のようになっています。

1 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  • 広告等を通じて認知症への理解を深めるキャンペーンの実施
  • 認知症サポーターの養成(2014年9月末545万人を2017年度末に800万人にすることを目標にしている)

など

2 認知症の容態に応じた適時・適正な医療・介護等の提供 早期診断・早期治療への取り組みを進めるために

  • かかりつけ医認知症対応力向上研修の実施
  • 認知症疾患医療センターの整備
  • 認知症ケアパス(地域ごとに認知症の医療と介護を連携して実施するサービス提供)の確立
  • 認知症初期集中支援チームの設置

など

3 若年性認知症施策の強化 若年性認知症は症状がわかりにくく発見が遅れがちなため、若年性認知症についての啓発と同時に本人や家族への支援などに取り組む
4 認知症の人の介護者への支援 介護者の精神的身体的負担の軽減のために認知症カフェや介護ロボットの導入などを進める
5 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進 食事の配食サービスや家事支援サービスといったソフト面での支援と高齢者住宅や施設、地域のバリアフリー化などハード面での支援に取り組む
6 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進 認知症発症のメカニズム解明や診断法の確立などを目指す
7 認知症の人やその家族の視点の重視
  • 認知症への社会の理解を深めるキャンペーンを実施
  • 認知症の初期段階の人のニーズ把握や生きがい支援を行う

など

ここに紹介したのは取り組みの一例で、実際にはそれぞれの項目でさまざまな取り組みが細かく設けられています。この中でも特に注目を集めているのが、「2.認知症の容態に応じた適時・適正な医療・介護等の提供」の中の「認知症初期集中支援チーム」です。

5-2.認知症初期集中支援チームとは

「認知症初期集中支援チーム」とは認知症になっても、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けるために医療と介護の専門職で構成されたチームが認知症の人やその家族に早期からかかわるというものです。2018年度までに全国すべての市町村に配置することを目的に、まず14の市町村でモデル的に取り組んでいます。

「認知症初期集中支援チーム」は地域包括支援センター等に配置され、在宅生活をする40歳以上の認知症が疑われる人で、かつ以下の基準に該当する人が対象です。

  • 医療サービスや介護サービスを受けていない人、または中断している人
  • 医療サービスや介護サービスを受けているが、認知症の行動や心理症状が顕著で対応に苦慮している人

これらの人やその家族からの訴えがあれば、複数の専門職の人がその家族を訪問して、約6ヶ月をめどに支援を行って、自立生活のサポートを行います。

このように認知症の人やその家族に対してのさまざまな支援があります。ひとりで悩まずに近くの医療機関や相談窓口で相談してみましょう。

まとめ

認知症は単なるもの忘れとは異なります。その原因はさまざまですが、早期に発見し治療を受けることで進行を防ぐことができます。認知症の初期症状とその対策についてまとめると、次のようになります。

  • 認知症の初期症状には暴力や暴言といった行動症状と、気分が落ち込む、不安になるといった心理症状、そして記憶障害などの中核症状がある
  • 認知症の特徴には「もの忘れがひどい」「判断・理解力が衰える」「時間や場所がわからない」「人柄が変わる」「不安感が強い」「意欲がなくなる」といった6つの特徴がある
  • 本人や家族でできるセルフチェックリストでチェックをすることが大切
  • 認知症の疑いがある場合は、市町村の相談窓口や地域包括支援センター、かかりつけ医などで相談すること
  • 国も認知症支援として「新オレンジプラン」を策定し、対策に取り組んでいる。ひとりで悩まずに相談することで支援が受けられる

認知症を隠そうとせずに家族や周囲の人も一緒に考えて、少しでも早く治療や支援を受けられるようにしましょう。

これって認知症かも?疑いのある6つの初期症状とチェック方法