介護職の夜勤の実態とは?勤務時間や給料、仕事内容を探る

介護施設で働く介護職員の勤務には、日勤と夜勤があります。よりお金を稼ぐためにも夜勤をお考えの方も多いでしょう。ここでは、勤務時間はどれくらいなのか、給料は日勤よりも多いのかどうかなど、介護職の夜勤の実態について知っておきましょう。

1.介護職の夜勤の人員配置

介護職の夜勤の人員配置

厚生労働省では介護職の現場で夜勤を行う職員の配置基準を設けています。施設の種類や利用者の数によって異なるので、以下に例を挙げておきます。なお、特に人員配置数が決められていない施設もあります。

利用者の数 介護職員・看護職員の数(※)
短期入所施設 25人以下 1人以上
26人以上60人以下 2人以上
61人以上80人以下 3人以上
81人以上100人以下 4人以上
101人以上 4人以上(25人増えるごとに1人増やす)
短期入所療養介護施設 2人以上(40人以下の場合は1人でも可)
老人保健施設 41人以上の施設 2人以上(20人を超えるごとに1人増やす)
40人以下の施設 1人以上(20人を超えるごとに1人増やす)
特別養護老人ホーム 31人以上50人以下で1人増やす
グループホーム 1ユニット 介護従事者及び宿直勤務医にあたるものの合計が2以上

※介護職員または看護職員を配置するようになっています。そのため必ずしも介護職員が夜勤を行うとは限りません

この表でわかるように多くの利用者を1人~2人の介護職員(または看護職員)で見なければなりません。

2.夜勤の勤務時間

夜勤の勤務時間

介護職の夜勤の勤務時間は施設によって異なります。いくつかの例を見てみましょう。

勤務形態 日勤 早番 遅番 夜勤
4交替 9:00~18:00 7:00~16:00 11:00~20:00 17:00~翌朝7:00(夜勤は月4回)
3交替 8:00~17:00 16:00~0:00(準夜勤) 20:00~翌朝9:00
2交替 8:30~20:30 20:30~8:30
夜勤専門 18:00~翌朝9:00(休憩90分~12分)

このように施設によって勤務のシフトが異なり、2交替制のところもあれば、3交替制、4交替制のところもあります。また、求人には夜勤専門の人を募集しているケースもあります。

日勤者から引き継いで、翌日の日勤者に引き継ぐまでが1勤務としているところが多いようです。

2-1.夜勤勤務に仮眠はある?

夜勤は1勤務が14時間から16時間にも及ぶことがありますが、仮眠や休憩はあるのでしょうか?

日本医療労働組合連合会(以下日本医労連)という医療・介護従事者が加盟する労働組合が実施した「2015年介護施設夜勤実態調査」によると、下記の表のように3交替の場合、休憩時間と仮眠時間の合計は平均1時間13分、2交替の平均は約2時間となっています。

ただ、休憩時間は施設によってまちまちで、短いところでは1時間以下というところもあります。

1

出典:『医療労働』2016年2月号

3.介護職の夜勤手当

介護職の夜勤手当

夜勤は「深夜勤務」となり「深夜業手当」の対象になります。この場合の「深夜勤務」とは22:00から翌朝5:00までのことを指します。「深夜業手当」は夜勤手当とも呼ばれますが、労働基準法では通常勤務の賃金の2割5分増しと決められています。

3-1.夜勤手当の計算例

実際に夜勤手当の計算をしてみましょう。

正社員の場合

  • 基本給:20万円
  • 月平均所定労働時間:168時間の場合

(20万円÷168)×0.25=297.6

この人が夜10時から翌朝5時まで7時間夜勤をすると、【297.6×7=2083円】となります。つまり、夜勤手当は1日あたり2083円以上あれば法的には問題がないと言えます。

パートの場合

  • 時給が1200円の場合

1200円×0.25=300円

この人が夜10時から翌朝5時まで7時間夜勤をすると、【300円×7時間=2100円】となります。つまり、夜勤手当は1日当たり2100円以上あれば問題がないと言えます。

夜勤が17時から翌朝9時までの勤務で休憩が2時間ある場合はどうでしょうか。勤務時間は14時間になりますので、【1200円×14=16800円】。そこに夜勤(20:00~5:00までの7時間)の手当2100円を加算します。【16800円+2100円=18900円】がこの人の報酬になります。

3-2.  介護職の夜勤手当の平均額

このように労働基準法では通常賃金の2割5分増しの夜勤手当を支給するようになっていますが、現実にはもっと多く、5000円~8000円程度が支給されています。日本医労連の調査によると、夜勤手当の平均額は以下のようになっています(準夜とは準夜勤のことで16時または17時から0時または1時までの勤務を指します)。

2015年介護施設夜勤実態調査・夜勤手当

3 4 5

出典:『医療労働』2016年2月号

この調査によると2交替夜勤の夜勤手当の平均額は6,335円になっています。ただ、施設の種類によって、また正規職員と非正規職員でかなり差があることがわかります。

ただし、求人募集などで夜勤専門「日給15000円」などと表示されている場合は、日給に夜勤手当がプラスされています。これから夜勤介護の仕事を探す場合は間違えないようにしましょう。

また、介護資格の有無によって夜勤手当に差をつけている事業所もあります。事前によく確認することが大切です。

4.介護職の夜勤の仕事内容

介護職の夜勤の仕事内容

介護職の夜勤の仕事内容は施設によって異なりますが、多くは夕方から出勤して翌朝の8時や9時ごろまで勤務します。つまり翌日の早番や日勤の人に引き継ぐまで仕事をするということになります。主な仕事内容としては、次のものがあります。

  • 食事の準備
  • 配膳・食事の介助・下膳
  • 服薬の準備
  • 着替え
  • 排泄の介助や処理
  • おむつ交換
  • 介護記録の記入
  • 体位交換
  • 夜間の巡回
  • ナースコールの対応
  • 日勤者への引き継ぎ

4-1.介護職の夜勤で起こりがちなトラブル

夜勤は1人または2人という少人数で利用者のお世話をしなければなりません。特にトラブルがなければ平穏に過ぎていきますが、入所者が高熱を出したり、嘔吐や下痢をしたりといった急病やベッドから落ちたなどのトラブルがあると対応に追われます。また、重篤な病状の利用者がいると、夜間に容態が急変することもあります。その際のマニュアルをしっかり把握しておく必要があります。

日本医労連の調査では、約半数近くの施設で夜間の救急対応があったと答えています。

2015年介護施設夜勤実態調査・夜間の救急対応

6

出典:『医療労働』2016年2月号

4-2. 災害や事故の対応

災害時に夜勤勤務者が少人数で対応しきれずに、被害者を出すケースがあります。

2016年8月に東北地方に上陸した台風10号の影響で、岩手県岩泉町にある高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」が濁流に襲われました。当時、勤務していたのは55歳の女性所長1人だけで、隣接する介護老人保健施設に避難させようにも電話が通じず、ベッドに誘導するのが精いっぱいで9人が犠牲になりました。

施設の経営者の判断が遅かったのが一因とされていますが、自然災害にはどうしようもできないことがあります。早めに避難させるなどの対策が必要ですが、その場合に避難方法や関係者との連絡網を把握しておくなどのマニュアルが必要になります。

また、施設の防災設備の不備で火災が発生したケースもあります。長崎県ではグループホームの火災で2006年に7人、2013年に5人が死亡しています。いずれもスプリンクラーが未設置だったこと、避難経路が確保されていなかったことなどが被害を大きくしたとみられています。この場合も夜勤勤務者は1人だけでした。

このような場合に備えて、また介護職員の安全や健康不安の解消のために、日本医労連では、夜勤交替労働の改善を求める国会請願署名を実施しています。

5.介護の夜勤の実情

日本医労連の調査では、夜勤は2交替制を取っているところが全体の86%で、その7割は16時間以上の長時間労働になっています。また、夜勤を1人で行う「1人夜勤」も多く、さまざまな問題を招いていると指摘しています。

施設単位での夜勤形態(単位:施設)

3交替 2交替と3交替の混合 2交替 当直と3交替の混合 当直と2交替の混合
12 2 124 3 2

出典:『医療労働』2016年2月号

さらに介護業界全体が慢性的な人手不足で、夜勤は正規職員だけでなく非正規職員が入るケースが増えていて、全体の半数が非正規職員になっています。特にグループホームでは70.8%が非正規職員で夜勤を回していることがわかります。

2015年介護施設夜勤実態調査・夜勤に入った非正規職員数

8

出典:『医療労働』2016年2月号

まとめ

介護の現場では夜間勤務があります。人員配置は施設によって設けられていますが、多くは1人から2人で対応しています。介護職の夜勤の状況をまとめると次のようになります。

  • 介護職に限らず深夜勤務は22時から翌朝5時までで、夜勤手当は労働基準法で通常勤務の2割5分増しと決められている
  • 実際には夜勤手当として5000円~8000円が支給されるところが多いが、施設によって、また正規職員か非正規職員かで支給額に差がある
  • 夜勤時は災害や火災、利用者の容態の急変などのトラブルに対応できるよう、日ごろからマニュアルや避難経路、緊急連絡先などを把握することが重要
  • 介護職の1人夜勤や長時間勤務を解消するように国に求める運動があるが、なかなか改善には至っていない

介護従事者として働く場合は夜勤があること、夜勤の実態をよく理解しておきましょう。

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