老後貯金の必要額はいくら?夫婦・独身の場合でシミュレーション

老後貯金の必要額

将来、自分が定年を迎えた後、死ぬまでにどれくらいのお金が必要かご存知でしょうか。

老後の収入源である年金は、財源を支える子ども達が減っているため、今後、受給開始年齢が先延ばしになることやもらえる金額が減ることも考えておかなければいけません。一方で、高齢になればなるほど医療や介護にかかる支出は増え、必要なお金は増えるばかりです。

収入が減り、反対に支出は増えてしまう老後に備えるため、自分に必要な老後の貯金額を知り若いうちからできることを考えておく必要があるのです。

1.老後貯金の必要額の計算方法

1-1.【(老後の)年間支出―年間収入×年数】で求める

老後貯金の計算方法

老後に必要な貯蓄額を求めるためには、定年後の年間支出から年間の収入を引いた数字に残された寿命(年数)をかけることで算出することができます。

例えば、65歳の夫婦で見てみると毎月の生活費が夫婦合わせて22万円(年間264万円)、その他、介護や趣味、住宅などにかかる年間費用を100万円とすると年間支出は約360万円となります。

一方、収入は会社員の夫と専業主婦の妻の場合、夫が毎月14万7000円の厚生年金、妻が5万4000円の国民年金を受け取ると年間収入は約240万円となります(参考:厚生労働省・厚生年金、国民年金事業の概況)。

現在の日本の平均寿命は、男性が80歳、女性が86歳なので、夫婦で85歳まで生きるとすると残りの年数は20年となります。これらを踏まえ、夫婦2人に必要な貯金額を算出すると以下のようになります。

 【65歳夫婦2人の場合の必要貯金額の例】
年間支出360万円-年間収入240万円×残りの寿命20年=約2400万円 

これに老人ホームへの入居や介護度が上がった場合など特別にかかるお金が発生すると必要な貯蓄額はさらに増えます。また、夫に先立たれた場合や夫婦ともに国民年金だった場合、一生独身だった場合など個々によって背景が変わると必要貯蓄額も変わってきます。

つまり、老後に必要な貯金額は人によって支出や収入も違うので、それぞれに合わせた算出と余裕も持った貯蓄が必要となります。

1-2.支出にはどんなものがあるか

では、定年後に実際必要となる支出にはどのようなものがあるでしょうか。具体的な支出を見ていきましょう。

【毎月かかる平均的な必要経費】

  • 生活費(食費や光熱費、雑費):8~10万円
  • 娯楽費:夫婦それぞれ2~3万円(夫婦で5万円程度)
  • 医療費(外来):3割負担で2万円程度、1割負担で1万円程度
  • 介護費:要介護3、在宅介護の例で4~5万円程度の負担
  • 老人ホームで生活をする場合:利用料:5万~15万

毎月、必要となるお金は年齢や健康度によっても変わりますが、夫婦2人の場合、平均すると合計22万円程度は必要です。これに、住宅ローンが残っている場合や賃貸マンションの場合、娯楽にお金をかけたい場合など余裕をみると2535万円程度は必要となってきます。独身の場合も大きくは変わらず毎月15万~25万円程度は必要となるでしょう。

【年間にかかるお金】

  • 固定資産税など:5万~20万(家屋や土地によって変化あり)
  • 車の車検代やガソリン代:20万円程度
  • 旅行など:30万円
  • 孫や子どもにかけるお金、交際費など:20万円程度

年間にかかる費用は、持ち家や車の所有、旅行など必要な経費が個々によって違うので差がありますが平均すると100150万円は預貯金として残しておくと安心です。

【特別なときの費用】

  • 家のリフォームなど:100万~200万
  • 老人ホームに転居する場合:入居一時金20万~1000万円
  • 介護サービスを利用する場合の初期費用の自己負担額2万円程度
  • 医療費(入院した場合):3割負担で5万~10万円程度、1割負担で4~5万円程度 ※差額ベッド代や保健適応外の治療などは別途かかります。

特別なときにかかる費用は、入院した場合や老人ホームに入居した場合など主に75歳以上になるとまとまった金額が必要となってくるケースがあります。また、家の修繕やバリアフリーへのリフォームなどにおいて必要です。

これらを合わせると、夫婦2人の場合の主な支出は、年間に必要な支出額が300400万円程度+特別なときの支出が1000万円程度となります。独身の場合は、年間200万~300万円+特別なときの支出が700万円程度は見ておくべきでしょう。

1-3.収入にはどんなものがあるか

では、定年後の収入にはどのようなものがあるでしょうか。65歳で定年した場合、一番大きな収入源は厚生年金や国民年金です。厚生労働省の「厚生年金・国民年金事業の概況」によると、平成26年度の平均厚生年金支給額は14万7000円程度、国民年金は5万4000円程度となっています。

具体的に収入を見てみると、会社勤めの夫と専業主婦の妻の夫婦2人の場合、厚生年金の夫は14万7000円(厚生年金9万3000円+国民基礎年金5万4000円)、国民年金の妻は5万4000円を受け取ることができるので、夫婦2人合わせると毎月20万1000円の受給額となります。

自営業などで夫婦ともに国民年金だった場合は、国民年金5万4000円×夫婦2人分で毎月の受給額は10万8000円の受給額になります。

また、厚生年金の夫が先に死亡してしまった場合、妻は夫の厚生年金の代わりに遺族年金を受け取ることができます。遺族年金は夫が受け取るはずだった厚生年金(9万3000円)の3/4を受給できるので、毎月6万9000円程度の支給となります。妻自身の国民年金5万4000円+遺族年金6万9000円を足すと毎月約12万3000円の受給額となります。

他に、年金以外の大きな収入として退職金があります。退職金の平均的な支給額は、日本経団連の「2014年度9月度退職金、年金に関する実態調査結果」によると、一般大手企業の場合、勤続35年の場合で2000万円程度となっています。ところが、規模が小さい会社だと勤続35年でも多くて1300万円程度、もしくは退職金制度そのものが無いという会社もあります。

一方、公務員の場合は、厚生労働省の調査によると勤続35年の常勤職員の場合、平均定年退職金の支給額は2300万円となっています。会社の規模や一般企業か公務員かによっても退職金に違いがあることがよくわかります。また、勤続年数が短い場合、退職金は少なくなりますし、非正規雇用やアルバイト、パートなどでは退職金がないので注意が必要です。

その他の収入源として、定年後、退職した会社に再雇用されたり、シルバー人材センターから仲介されてパートやアルバイトで収入を得ているという方も多くいます。平均時給は800円~1000円程度、1日5時間、週に2~3回働くとすると月6万円程度の収入となります。

2.夫婦の場合の老後貯金の「平均額」と「安心な額」

ケアハウスと老人ホームの違い

上記の支出と収入を踏まえ、夫婦2人の場合の老後貯金の平均額と安心な額をそれぞれ見ておきましょう。

2-1.夫婦の場合の老後貯金の平均額

老後に必要な貯蓄額を計算するためには、冒頭でも述べたように①年間支出―②年間収入×③年数で出すことができます。65歳の夫婦2人の場合を想定して考えてみましょう。

①夫婦2人の年間支出

  • 生活費や医療、介護費など:毎月22万円×12か月分=264万円
  • 年間にかかる費用(固定資産税、車検代、旅行など)約100万円

上記の合計364万円

特別な支出(家のリフォーム、老人ホームの初期費用など)は1000万円とします。

②夫婦2人の年間平均収入(会社員の夫、専業主婦の妻の場合)

(夫の厚生年金)14万7000円+(妻の国民年金)5万5000円×12ヶ月=241万円

③残りの平均寿命年数

夫婦85歳まで生きるとして残り20年

これら①~③を計算式に当てはめると、夫婦2人の老後の平均的な必要貯金額は以下のようになります。

364万円-241万円×20年=2460万円+特別な支出1000万=3460万円

夫の退職金が1000万円程度ある場合でも、残り約2400万円程度の貯金が必要となってきます。

2-2.夫婦の場合の老後貯金の安心な額

老後に旅行などを楽しみたい場合や有料老人ホームへの入居、介護度が上がった場合の費用などを考えると貯金額はさらに必要となります。夫婦2人の場合で、「これだけあれば安心だ」という額について見ておきましょう。

①夫婦2人の年間支出

生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、老後ゆとりのある生活費は30万円~35万円というアンケート結果が出ています。そのため、夫婦2人合わせて毎月30万円とすると、年間の支出は360万円となります。また、旅行などを楽しみたい場合は年間にかかる費用(固定資産税、車検代、旅行など)が150万円程度は必要です。

合計すると夫婦2人の年間支出は510万円となります。

特別な支出(家のリフォームや老人ホームの初期費用など)は1000万円とします。

②夫婦2人の年間収入(会社員の夫、専業主婦の妻の場合)

収入に変化はないので、夫婦2人の平均収入は、先ほどと変わらず年金が241万円です。

③残りの平均寿命年数

夫婦85歳まで残り20年とします。

これらから、夫婦2人の安心な老後貯蓄額を算出すると以下のようになります。

510万円-241万円×20年=5380万円+特別な支出1000万=6380万円

夫の退職金が1000万円程度あるとしても、残り約5300万円程度の貯金は必要となります。

3.独身の場合の老後貯金の「平均額」と「安心な額」

独身のおばあさん

では、独身だった場合の必要な平均額と安心な額はどれくらいになるでしょうか。見ていきましょう。

3-1.独身の場合の老後貯金の平均額

独身の場合も夫婦の場合と同様に、必要な支出と収入、年数から老後貯金の平均的な必要額を出すことができます。

①独身の場合の年間平均支出

  • 生活費や医療、介護費など:毎月18万円×12か月分=216万円
  • 年間にかかる費用(固定資産税、車検代、旅行など):70万円

上記の合計286万円

特別な支出(家のリフォーム、老人ホームの初期費用など)は700万円とします。

②独身の場合の年間平均収入(会社員の場合)

厚生年金14万7000円×12ヶ月=176万円

③残りの平均寿命年数

85歳まで残り20年とします。

これらを計算式に当てはめると、独身の場合の老後の平均的な必要貯金額は以下のように算出できます。

286万円-176万円×20年=2200万円+特別な支出700万=2900万円

退職金が1000万円程度あるとすると、残り約1900万円程度の貯金が必要となります。

3-2. 独身の場合の老後貯金の安心な額

独身の場合も、娯楽にお金をかけたい場合や老人ホームに入居する場合などを考えると安心な老後貯金はさらに余裕を持って見ておかなくてはいけません。

①独身の場合の年間支出

毎月かかる必要額に余裕を持たせると約25万円は必要です。年間にすると300万円です。年間にかかる費用(固定資産税、車検代、旅行など)を70万円とすると合計は370万円となります。

特別な支出(家のリフォーム、老人ホームの初期費用など)は700万円として計算します。

②独身の場合の年間収入(会社員の場合)

年間の収入は変わらず、厚生年金14万7000円×12ヶ月分で176万円

③残りの平均寿命年数

85歳まで残り20とします。

これらを計算式に当てはめると、独身の場合の老後に安心な貯金額は以下になります。

370万円-176万円×20年=3880万円+特別な支出700万=4580万円

退職金が1000万円程度あるとしても、残り約3600万円程度の貯金が必要です。

以上から分かることは、夫婦2人の場合の必要貯蓄額は3400万円~6400万円、独身の場合でも2900万~4600万円程度の貯蓄は必要であることが分かります。

ただし、老後の必要貯蓄額は、生活レベルや医療、介護にかかる費用などが個々によって違うので、人によって差があります。つまり、定年後どのように生活したいかをそれぞれが考え、自分にとっての必要額を算出しておくことが大切といえます。

4.【年代別】老後の資金を増やすために今からできること

老後の資金を増やすために今からできること

老後は収入が減るにも関わらず、必要な支出は高額になることが分かりました。では、それをまかなうために今からできることは、いったい何でしょうか。各年代に別けてできることを考えてみましょう。

4-1.30代

30代はちょうど結婚や妊娠、子育てが始まる時期であり、独身の頃とはライフスタイルが変化するときです。結婚し子どもが生まれれば、将来のおおよその必要経費が見えてくるので、今後、必要となるお金や貯蓄額がどの程度なのかをしっかり把握することから始めましょう。

今後、子育てに必要な貯蓄と自分達の老後のために必要な貯蓄を毎月の給料から差し引いて、残りのお金で生活のやりくりをすることが必要です。貯蓄を増やす方法には、銀行に定期預金をしたり、保険をかけたりする方法がありますが、自分達に合う方法を探すようにするとよいでしょう。

夫婦2人の場合だと30代から貯蓄をスタートすると、退職金を考慮しても65歳までに年間70万円~150万円程度の貯蓄が必要となります。子どもがまだ小さいうちは、子育てに高額なお金がかかることはないので、まずはコツコツ貯蓄をスタートさせることが大切です。

4-2.40代

40代は働き盛りの年代であり、妻が子育てから手が離れ夫婦共働きになると、収入面でも潤ってくることが多いです。一方、子どもの教育費にはお金がかかってくる時期でもあります。

そのため、子どもが成人するまでにかかる費用や生活費、保険などを再度、見直し節約と貯蓄をうまくやりくりすることが大切です。

また、40歳代以降は、自分自身も健康面で問題が起こり始める時期でもあります。医療保険や生命保険の加入、見直しもしておくようにします。特に独身の場合は、自分が働けなくなると収入が激減してしまうのでしっかり考えておきましょう。

同時に健康を意識した生活や、病気を早期発見するために健康診断を必ず受けることが、結果的にお金をかけないためには重要となります。

生活に余裕がある場合は、利回りよく資金を増やすために資産運用も考えますが、リスクや自分に合うかどうかをしっかり考えて選択するようにしましょう。

4-3.50代

50代は子どもが独立し子育てにかかる支出がなくなり、収入面でももっとも潤っていることが多いので老後の貯蓄を増やすチャンスでもあります。毎月の貯蓄費用やボーナスの使い方、貯蓄の方法などを見直し、老後に向けての貯蓄をさらに増やしておくようにしましょう。

一方で、生活習慣病や持病などを抱える時期でもあります。より長生きできるように健康には意識しておくことが大切です。

まとめ

老後は意外に必要なお金が多いことや、定期的な収入が減るので若いうちから貯蓄が必要なことが分かっていただけたと思います。特に、最近は晩婚化や少子高齢社会で長引く親の介護や子育てがあり、かつ年金や子どもからの援助も当てにできません。老後、貧困に陥らないために大切なことをまとめておきましょう。

  • 夫婦2人の場合に老後に必要な貯蓄額は3400万円~6400万円
  • 独身の場合、老後に必要な貯蓄額は2900万円~4600万円
  • 必要貯蓄額はあくまでもモデルケースなので、個々によって算出しておく
  • 老後の貯蓄はなるべく早くスタートさせる
  • 年代ごとに生活費や子育て費用、老後の貯蓄の見直しをする
  • コツコツ溜めることが老後の貯蓄を増やす一番の早道
  • 老後にかかる大きな支出は介護費用。早くから健康に注意して生活をする

いかがでしたか?老後、セカンドライフを楽しもうという時期になって、お金に困ることがないよう若いうちから将来のことをしっかり考え、貯蓄を始めておくことが大切といえます。

老後貯金の必要額