介護保険の対象年齢は?介護保険を納める人が知っておきたい基礎知識

介護保険の対象年齢は?介護保険を納める人が知っておきたい基礎知識

介護保険制度は2000年にスタートしました。高齢化が進む中で、社会全体で介護を担っていく必要性があるため導入されたものです。制度開始から現在までに何度か見直しや改正が行われていますが、40歳以上の国民すべてが介護保険に加入しています。

介護保険とはどんな制度なのか、年齢によって保険料が異なるのかどうか詳しくご説明します。

1.介護保険制度とは

日本の公的社会保険制度には「医療保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」と「介護保険」の5つがあります。介護保険ができるまでは老人福祉制度がありましたが、財源はすべて税金でまかなわれていました。行政による福祉的なサービスが中心で、訪問看護など医療面の窓口がなく利用しづらい面があったのです。また、高齢化が進み、財源を確保することが重要な課題となってきました。さらに家族での介護の限界、高齢者医療費の増大などの問題が深刻になってきたため、介護保険制度が導入されました。

1-1.日本の高齢化はこんなに深刻

内閣府の「高齢社会白書」によると2014年10月時点の日本の人口は1億2,708万人で、そのうち65歳以上の高齢者人口は3,300万人で過去最高になっています。総人口に占める65歳以上の人口を示す「高齢化率」は26%で、こちらも世界でもっとも高い水準です。高齢者の中で65歳~74歳のいわゆる「前期高齢者」は総人口の約13.4%、75歳以上の「後期高齢者」は約12.5%になっています。

なお、国の試算では2060年には2.5人に1人が65歳以上となり、4人に1人が75歳以上になるとのことです。

1-2.高齢化社会で起こる問題

長生きはいいことですが、医療や介護などさまざまな問題が出てきます。65歳以上の高齢者のいる世帯は全体の44.7%を占め、そのうち高齢者夫婦だけの世帯が約3割、単独世帯と合わせると全体の半数を超えています。(内閣府「高齢社会白書」2013年)

高齢者社会で起こる問題点としては次のようなものがあります。

  • 経済的な問題……65歳以上の高齢者の生活保護受給者の割合は2.76%で全人口に占める受給割合の1.67%よりも高くなっています。
  • 健康面での問題……65歳以上の高齢者の健康状態を聞いてみると半数近くの人が健康面で何らかの自覚症状を抱えています。
  • 介護の問題……65歳以上の要介護者等認定者数は2012年度末で545.7万人で、2001年から258万人も増加しています。誰が介護をするかを見てみると、6割以上が同居の家族で配偶者、子ども、子どもの配偶者などとなっています。中には「老老介護」というケースも多く見られます。

1-3.介護保険の仕組み

高齢化が進む時代背景の中で介護保険制度が導入されました。その仕組みは次のようになっています。40歳以上の人が介護保険料を納め、それが財源としてプールされています。さらに国や市町村、都道府県などからの税金も介護保険の財源としてプールされています。それぞれの割合は50%ずつとなっています。

一方、介護が必要になった高齢者は「要介護認定」を受けて、訪問介護や老人福祉施設などでサービスを受けますが、その場合の負担額は1割になっています。残りの9割を介護保険料から支払われます。

2.介護保険の加入対象者

日本には「国民皆保険制度」があり、すべての国民は会社の社会健康保険や国民健康保険などなんらかの公的な医療保険に加入しています。それと同じで介護保険も40歳以上のすべての国民が加入ようになっています。ただし、介護保険のサービスを受けるには要介護認定を受けるなどの条件があります。

2-1.介護保険の年齢はいつからいつまで?

介護保険には、

  • 第1号被保険者
  • 第2号被保険者

があります。

第1号被保険者は65歳以上の人で介護保険料は市町村が支払っています。正確には年金から天引きされます。このことを「特別徴収」と呼び、本人の通帳口座から引かれたり、役所に支払いに行ったりすることはありません。

第2号被保険者は40歳~64歳までの医療保険加入者で、医療保険料と一緒に徴収されます。

2-1-1.介護保険料の徴収が始まるのはいつから?年齢の基準日を知ろう

介護保険料の徴収は「満40歳に達したとき」からです。通常は「満40歳に達する日」は「満40歳の誕生日」と考えますが、この場合は「誕生日の前日」が「満40歳に達する日」となります。ただし日割り計算ではないので、「満40歳に達する日」が属する月から徴収が始まります。

 (例)

  • 7月1日生まれの人の場合……7月1日に満40歳を迎えますが、「満40歳に達する日」は6月30日です。そのため介護保険料は6月から徴収されます。
  • 7月2日生まれの人の場合……「満40歳に達する日」は7月1日なので7月から徴収が始まります。

2-1-2.介護保険料の徴収はいつまで?

介護保険料は「満65歳に達したとき」から徴収されなくなります。つまり満65歳の誕生日の前日が属する月から徴収されないということです。

 (例)

  • 7月1日生まれの人……満65歳になるのは7月1日だが、「満65歳に達する日」は6月30日なので、6月から徴収されません。
  • 7月2日生まれの人……満65歳に達するのは7月1日なので、7月から徴収されません。 

なお、徴収が始まる時期や徴収されない時期は自分で申告する必要はありません。会社員の場合は給与計算の際に徴収されますし、国民健康保険の場合は保険料と一緒に徴収が始まります。

2-2.介護保険料の徴収義務がある人

介護保険料の徴収は上記のように40歳以上で医療保険(会社の健康保険や国民健康保険)に加入している人が対象です。

2-2-1.65歳以上でも医療保険に加入している場合

65歳以上でも自営業や会社に勤務していて健康保険に加入している場合は徴収されます。

2-2-2.扶養家族の保険料はどうなる?

医療保険(健康保険)に加入している本人は介護保険料を徴収されますが、扶養家族(40歳~64歳)の人は徴収されません。これは本人の介護保険料に扶養家族の分が含まれて徴収されるからです。

ただし、本人が40歳以下で扶養家族が40歳以上の場合はその人(扶養家族)の分は徴収されます。例えば夫が38歳、扶養家族である妻が41歳という場合は夫の分の介護保険料は徴収されませんが、妻の分は徴収されます。ただし、夫が満40歳になると夫の介護保険料が徴収され、扶養家族である妻の分は徴収されません。

2-2-3.生活保護を受けている人

介護保険料は医療保険料と一緒に徴収されます。そのため、医療保険に加入していない生活保護の受給者は介護保険料を負担することはありません。「介護保険の被保険者」にはなれませんが、介護が必要になった場合は生活保護費の中の「介護扶助費」でまかなわれます。

2-3.介護保険料(金額)はいくら?

介護保険料は医療保険料と一緒に給料から引かれている人が多いため普段はあまり意識されないかも知れませんが、計算は加入している健康保険組合などによって異なります。

2-3-1.協会けんぽの場合

給与(標準報酬月額)・賞与(標準賞与額)×介護保険料率(協会けんぽの場合は58%)

※2016年時点

※介護保険料率は変更になる可能性があります

2-3-2.組合管掌健康保険の場合

規約で定められた保険料率と負担割合で計算されます

2-3-3.国民健康保険の場合

所得割、資産割、均等割(人数割)、世帯別平等割のうちから市町村ごとに組み合わせを決めて徴収されます。なお、65歳以上の介護保険料は市町村が定めた料率を本人の所得にかけて計算されます。そのため、住んでいる市町村と本人の年金受給額によって介護保険料に差が出ます。

ただし、低所得の人は市町村の役所から納入通知書を送付して納入を求める「普通徴収」で納付する形になっています。

3.介護保険のサービスを受けられる年齢はいつから?

介護保険のサービスを受ける場合は、年齢によって受給要件が異なります。基本的に第2号被保険者は介護保険料を納める役目なのでサービスを受ける側ではありません。しかし、下記の表のように老化が原因とされる特定の16の疾病にかかった場合は介護サービスが受けられます。

第1号被保険者 第2号被保険者
年齢 65歳以上 40歳~64歳までの医療保険加入者
受給要件
  • 要介護状態(寝たきり・認知症などで介護が必要な状態)
  • 要支援状態(日常生活に支援が必要な状態)
  • 要介護、要支援状態
  • 末期がん・関節リウマチなどの加齢に起因する疾病(特定疾病)による場合に限定

3-1.第2号被保険者でも介護保険が受けられる特定疾病とは

満40歳~64歳までの第2号被保険者でも介護保険が受けられるのは、次の16の特定疾病が原因で要介護や要支援の状態になった場合に限られます。

  1. がん【がん末期】(※)
  2. 関節リウマチ(※)
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗しょう症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症(※)
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

「※」は、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。

3-2.介護保険の年齢到達前申請とは

介護保険を受給する年齢に達する前に要介護状態になった場合は、受給できる年齢になるとすぐにサービスが受けられるようにすることを「資格取得年齢到達前の認定申請」といいます。

3-2-1.第1号被保険者(65歳以上)の場合

65歳になる前に要介護状態になった場合は64歳9ヶ月に到達した日から65歳の誕生日の前々日までに事前申請を行います。

 (例)7月1日生まれの人の場合

65歳に到達するのは6月30日となります。64歳9ヶ月に到達するのは3月30日となり、この日から事前申請が可能になります。 

 3-2-2.第2号被保険者(40歳~65歳)の場合

第2号被保険者がその年齢に到達するまでに申請することを「新規申請」と言います。対象となるのは39歳9ヶ月に到達した日から40歳の誕生日の前々日までです。

上記の16の特定疾病で要介護状態になっているが、40歳になっていない方は39歳9ヶ月に到達する日から新規申請が可能になります。

まとめ

介護保険は高齢化社会を支える財源として必要なものです。介護保険について大事なポイントを知っておきましょう。

  • 40歳以上で公的な医療保険に加入している方はすべて介護保険の加入者である
  • 介護保険には、「第1号被保険者(65歳以上)」「第2号被保険者(40歳~64歳)」がある
  • 介護保険料は会社員など健康保険に加入している人は給料から引かれる
  • 国民健康保険に加入している人は国民健康保険料と一緒に納付する
  • 65歳以上の場合は年金から天引きされる

介護保険料は毎月の健康保険料に上乗せして徴収されるので家計に負担がかかりますが、この制度があるから高齢者の介護サービスが安心して受けられるのです。介護保険制度の仕組みや意味をよく理解することが大切です。

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