介護のお金はどれくらい必要!知っておきたい介護費用の内訳と負担額

介護のお金はどれくらい必要!知っておきたい介護費用の内訳と負担額

自分や親に介護が必要になったら一体いくらかかるのでしょうか?また、費用の補助や税制面での優遇措置はあるのでしょうか?気になる介護費用について、その内訳や平均額、補助の制度などをくわしくご説明します。

1.介護費用には何があるの?介護費用の内訳を知ろう

介護費用には何があるの?介護費用の内訳を知ろう

自宅で生活する場合の介護にかかる費用には居宅サービスと呼ばれるものとして、

  1. 自宅に住みながら受けるサービス…訪問介護、訪問入浴、訪問リハビリ、訪問看護
  2. 自宅から施設に通って受けるサービス…デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリ)
  3. 福祉用具貸与

などがあります。また、地域密着型サービスとして夜間訪問介護や認知症対応型通所介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などさまざまなものがあり、それぞれに費用がかかります。

一方で施設に入所した際には施設サービス費用がかかります。

これらは介護保険が利用できるので、実質は1割(所得が多い人は2割)負担でサービスが受けられますが、紙おむつ代などの消耗品は自己負担になります。さらに、介護用ベッドの購入や住まいをバリアフリー化する費用など住環境に関する費用などもかかります。

1-1.介護のための住宅改修に対しての支給

介護保険では要介護(要支援)認定を受けた人がバリアフリーや手すりをつけるなど介護のために住宅を改修する場合は最大で20万円までが介護保険で支給されます。そのうちの1割(所得によっては2割)は自己負担となるので、実質は18万円(または16万円)が支給されるということになります。

支給までの流れは、

  1. 要介護(要支援)認定を受ける
  2. 住宅の改修についてケアマネジャーに相談する
  3. リフォーム業者を探して見積もりを取る
  4. 役所に住宅改修の申請書類を提出する
  5. 改修工事を実施
  6. いったん工事費を全額支払う
  7. 役所に住宅改修費の支給を申請する
  8. 改修工事費20万円までに対してかかった費用の9割(または8割)が還付される

となっています。

要介護(要支援)認定を受ける前に勝手に改修工事をしても介護保険の適用にならない場合があるので注意しましょう。

1-2.介護用具はレンタルが可能

介護生活はその人の状態によって必要なものが変化していきます。

  • 自力では歩けないが歩行を補助するつえや歩行器があれば歩ける
  • 自力では歩けないので車いすで移動したい
  • 寝たきり生活だが床ずれ防止のために体位変換器が必要

など、個々のケースに応じた福祉用具が必要になります。次のものは介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象になっています。

  • 車いす・車いす付属品
  • 特殊寝台・特殊寝台付属品
  • じょく瘡予防用具・体位変換器
  • 手すり
  • スロープ
  • 歩行器・歩行補助つえ
  • 認知症老人徘徊感知器
  • 移動用リフト(つり具部分を除く)

※以上は要介護2以上が対象

  • 自動排尿処理装置(要介護4・5のみ)

一方、レンタルではなく購入しなければならないものもあります。

  • 腰掛便座
  • 特殊尿器
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具部分

これらの福祉用具購入費は介護保険で10万円を上限に9割(所得によっては8割)まで支給されます。

レンタル、購入のいずれの場合でもケアプラン(介護サービス計画)で必要とみなされた場合に利用できます。まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみましょう。

1-3.介護保険以外の費用

紙おむつなどの消耗品、配食サービス(高齢者用のお弁当を配達するサービス)などは介護保険の対象外なので実費で購入しなければなりません。

ただ、最近は自治体独自のサービスとして在宅介護の高齢者に対して紙おむつの支給や布団乾燥サービス、出張理髪、配食サービスなどを行っているところがあります。

配食サービスは自己負担金が必要なケースが多いようですが、自炊できない高齢者世帯では助かります。

2.介護費用と保険料の推移

介護保険制度は平成12年にスタートし、3年ごとに事業計画の見直しを行っています。納付する介護保険料の引き上げやサービス内容の見直しなどがなされていますが、高齢者人口の増加にともない介護費用は年々増加しています。

介護費用と保険料の推移

画像出典:厚生労働省「介護費用と保険料の推移」

3.介護費用の自己負担平均額

公益財団法人家計経済研究所が調べたデータによると在宅で介護した場合の介護費用の自己負担平均額は介護サービス利用料として約37,000円、介護サービス以外の費用として約32,000円となっています。

ちなみに要介護の度合いが高くなるにつれて介護サービスの利用料は多くなっています。特に要介護5になると介護サービスの利用料だけでも毎月約7万円かかります。ただ、要介護5の場合は寝たきりになるケースが多いので、介護サービス以外の費用としては紙おむつ代や出張理髪代程度で要介護の度合いが低い人よりも少なくなるのが特徴です。

いずれにしても毎月7万円~10万円程度は必要だと言えます。

在宅介護の費用

 

3-1.介護費用の限度額

介護保険制度では要支援・要介護の度合いに応じて支給される限度額が設定されていて、それを超えた分が自己負担になります。

厚生労働省のデータ(2015年5月度)によると、要介護度別の支給限度額と実際に介護保険を利用した人の平均費用額は次のようになっていて、多くの場合支給限度額内に収まっていることがわかります。

支給限度額(円) 受給者一人当たり平均費用額(円) 支給限度額に占める割合(%) 支給限度額を超えている者(人) 利用者に占める支給限度額を超えているものの割合(%)
要支援1 50,030 19,695 39.4 1,034 0.2
要支援2 104,730 35,879 34.3 529 0.1
要介護1 166,920 70,771 42.4 8,355 1.0
要介護2 196,160 98,464 50.2 16,858 2.2
要介護3 269,310 148,145 55.0 7,863 1.7
要介護4 308,060 180,352 58.5 7,490 2.4
要介護5 360,650 223,054 61.8 5,861 2.9
合計 47,990 1.3

ただ、それでも中には支給限度額を超えている人もいて、その場合は自分で負担することになります。

3-2.介護費用が高額になった場合

介護サービスを受けていて毎月の自己負担額が高額になった場合でも「これ以上は支払わなくてもいい」という限度額が設定されていて、実際に支払った額から限度額を超えた分が払い戻されます。

自己負担額の上限は世帯の所得に応じて。次のように区分されています。

区分 負担の上限(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 44,400円(世帯)※平成27年8月新設
世帯内のどなたかが市区町村税を課税されている方 37,200円(世帯)
世帯の全員が市区町村税を課税されていない方 24,600円(世帯)
老齢福祉年金を受給している方
  • 24,600円(世帯)
  • 15,000円(個人)
前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間80万円以下の方など
生活保護を受給している方等 15,000円(個人)

出典:厚生労働省のデータを基に作成

一般的な所得の場合は負担額の上限は37,200円ですが、平成27年8月からは現役並み所得者に相当する人がいる世帯では毎月の上限額が44,400円に引き上げられました。対象となるのは同一世帯内で課税所得が145万円以上の65歳以上の人がいる場合です。

ただし、同一世帯に65歳以上の人が1人で、その人の収入が383万円未満の場合や同一世帯内に65歳以上の人が2人以上いて、その人の収入の合計が520万円未満の場合はそのことを事前に市町村に申請すれば37,200円になります。

4.介護費用は医療費控除の対象に

介護費用は医療費控除の対象に

医療費控除とは世帯全体で1年間(1月1日~12月31日)にかかった医療費の一部を所得税から控除することです。

医療費控除を受けるには確定申告をする必要があります。1年間に払った医療費が10万円を超える場合(所得金額が200万円未満の場合は所得金額×5%)に、超えた分に対して最高200万円までは所得税から控除できます(ただし、生命保険の入院給付金や健康保険で給付される高額療養費などは差し引いて計算します)。

4-1.介護用の紙おむつの医療費控除

介護用の紙おむつを購入した場合は医療費控除の対象になります。

対象となるのは、

  • 要介護や療養などで6ヶ月以上寝たきりで医師の治療を受ける状態であること
  • おむつを使う必要があると医師が認めた場合

に限られます。

医療費控除を受けるには、次の書類が必要になります。

1年目

  • 医師が発行する「おむつ使用証明書」とおむつを購入した際の領収書

2年目以降

  • 医師が発行する「おむつ使用証明書」または「主治医意見書の写し」または「主治医意見書の内容を市町村が確認した書類」とおむつ購入の領収書

紙おむつが必要となったら医師に「おむつ使用証明書」を発行してもらうと同時に紙おむつを購入する際に「紙おむつを購入したことがわかる領収書」を保管しておきましょう。

4-2.介護サービスを利用した場合の医療費控除

介護保健を利用して居宅サービスを受けた場合の自己負担額について、療養上の世話の対価に関する部分は医療費控除の対象になります。

対象となるサービスは以下の通りですが、平成28年4月から対象になったものや平成30年までのものなどがあるのでご注意ください(医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービスの対価|所得税|国税庁)。

4-2-1.医療費控除の対象になる居宅サービス

①医療費控除の対象となる居宅サービス等

  1. 訪問看護
  2. 介護予防訪問看護
  3. 訪問リハビリテーション
  4. 介護予防訪問リハビリテーション
  5. 居宅療養管理指導【医師等による管理・指導】
  6. 介護予防居宅療養管理指導
  7. 通所リハビリテーション【医療機関でのデイサービス】
  8. 介護予防通所リハビリテーション
  9. 短期入所療養介護【ショートステイ】
  10. 介護予防短期入所療養介護
  11. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限ります。)
  12. 複合型サービス(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます。)に限ります。)

② ①の居宅サービス等と併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス等

  1. 訪問介護【ホームヘルプサービス】(生活援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助)中心型を除きます。)
  2. 夜間対応型訪問介護
  3. 介護予防訪問介護(※平成30年3月末まで)
  4. 訪問入浴介護
  5. 介護予防訪問入浴介護
  6. 通所介護【デイサービス】
  7. 地域密着型通所介護(※平成28年4月1日より)
  8. 認知症対応型通所介護
  9. 小規模多機能型居宅介護
  10. 介護予防通所介護(※平成30年3月末まで)
  11. 介護予防認知症対応型通所介護
  12. 介護予防小規模多機能型居宅介護
  13. 短期入所生活介護【ショートステイ】
  14. 介護予防短期入所生活介護
  15. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合及び連携型事業所に限ります。)
  16. 複合型サービス(上記1の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます。)に限ります。)
  17. 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスを除きます。)
  18. 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスを除きます。)

4-2-2.医療費控除の対象にならない居宅サービス

  1. 訪問介護(生活援助中心型)
  2. 認知症対応型共同生活介護【認知症高齢者グループホーム】
  3. 介護予防認知症対応型共同生活介護
  4. 特定施設入居者生活介護【有料老人ホーム等】
  5. 地域密着型特定施設入居者生活介護
  6. 介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護
  7. 福祉用具貸与
  8. 介護予防福祉用具貸与
  9. 複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分)
  10. 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限ります。)
  11. 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限ります。)
  12. 地域支援事業の生活支援サービス

 

4-3.介護費用の確定申告の注意点

紙おむつ代や居宅介護サービスの費用だけでは1年間に10万円もかからないという場合でも、家族全員の医療費と合算して確定申告が可能です。

病院や病気治療のために必要な医薬品を購入した場合の領収書、通院のための交通費のメモやタクシーの領収書などはこまめに保管しておくことが大切です。

まとめ

国全体の介護保険費用は年々増加しています。それに合わせて介護保険料も引き上げられていますが、今後ますます増えていくと考えられます。

介護費用は人ごとと思わずに考えていきましょう。

  • 介護にかかる費用は介護サービスを利用した場合でも平均で7万円前後かかる
  • 介護保険を利用する場合は要介護(要支援)の度合いに応じて上限が設けられていて、自己負担分は1割(所得によっては2割)である
  • 介護保険の利用限度額を超えた分は自己負担になるが所得に応じて限度額が設けられている
  • 介護に必要な福祉用具はレンタルが可能なので相談してみるとよい
  • 居宅介護サービスを利用した費用の一部や紙おむつ代(寝たきりで医師が必要と判断した場合)は医療費控除の対象になる

このように介護には費用がかかりますが、さまざまな補助制度や自治体独自のサービスなどがあります。もし介護が必要になった場合はまず地域の窓口で相談してみましょう。

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