介護職員がイライラしてしまう原因と5つの解消方法

介護職員がイライラしてしまう原因と5つの解消方法

少子高齢化社会のわが国では介護職員のニーズは高まるばかりです。国や地方自治体も介護施設等の雇用主も、少しでも介護職員を確保したいと考えています。しかし、現場で働く職員は忙しさや人間関係などイライラすることばかり!

今回は介護職員の皆さんのイライラの原因と解消法を探ってみました。

1.介護職を辞めた理由

介護の仕事は「きつい」「汚い」「低賃金」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。介護職を辞めた人の理由を見てみましょう。

公益財団法人社会福祉振興・試験センターが平成27年に実施した調査によると、もっとも多いのは「事業所の理念や運営の在り方に対しての不満」でした。次いで多いのが「職場の人間関係」、「収入や労働時間に対する不満」といった待遇や福利厚生に関するものが続きます。

前の職場を辞めた理由(複数回答)

出典:平成27年度 社会福祉士・介護福祉士就労状況調査

2.職場に対してのイライラ

介護の仕事を辞めた理由のトップだった「事業所の理念や運営の在り方に対しての不満」の具体的な内容は個々の事業所によって異なるでしょうが、労働条件の不満に対する調査では「人手不足(50.9%)」「仕事の割に賃金が低い(42.3%)」「有給休暇が取りにくい(34.6%)」「身体的負担が大きい(30.4%)」「業務に対する社会的評価が低い(29.4%)」などの理由が上位を占めていました(平成27年度 介護労働実態調査)。やはり人手不足になるとその分忙しくなり、気持ちの余裕がなくなるのではないでしょうか。

事業所側も人手不足は感じていて、採用した人を少しでも長く勤めてもらおうとさまざまな取り組みをしています。中でも多いのが「労働時間の希望を聞く」というものです。また、ミーティングや意見交換会を開いて職員同士のコミュニケーションを高めたり、労働条件の改善も行っています。

介護職員の早期離職防止や定着促進のための方策

出典:平成27年度 介護労働実態調査

もし労働条件や業務内容などで不満がある場合は相談してみましょう。

3.同僚に対してのイライラ

辞めたい理由で2番目に多いのが「職場の人間関係」です。これは介護業界に限らずどの職場でもあることですが、介護の現場では経験の有無が如実に現れます。資格を取っただけではなかなか通用しない面があるため、経験の浅い人や若い人の中には「スタッフの中で自分だけ浮いている」「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と感じてしまいます。

しかし、それは誰もが通る道です。わからないことはどんどん先輩に聞いて、理解を深めましょう。先輩も「何がわからないのか言ってくれないと教えられない」と思っていることが多いようです。聞くのは恥ずかしいことではないので、遠慮せずに質問することが大切です。

また、職員同士の年齢が離れていると、自分だけ浮いていると感じることがあります。特に、介護職は親の介護に直面したことがきっかけで資格を取って働き出したという30代、40代の人が多くいます。そこに20代の新卒の人が入ると話が合わないのは当然です。就職先を探すときに、職員の年齢層やキャリアなどを聞いてみるといいでしょう。また、仕事の経験が少ない人は研修や新人育成を積極的に取り組んでいるところを探してみるのもいい方法です。

4.利用者に対してのイライラ

介護の仕事を辞めた理由の中で「利用者やその家族との関係」を挙げた人は意外に少なく、1.8%でした。何かあっても仕事として対応している様子がうかがえます。ただ、現場では「辞めたい」とまでは思わなくても、「こんなとき、どうすればいいの?」と戸惑ったり、それがイライラの原因になったりすることがあります。いくつかの例をご紹介しましょう。

4-1.利用者への接し方の悩み~施設介護編

施設で働く介護職員の声です。

  • 廊下の手すりを持って自分で歩こうと努力していた利用者に対して「頑張っていますね」と声をかけたら「うるさい!」と怒鳴られた。
  • 利用者が話しかけてきたが時間内に掃除を終えようと仕事をしながら聞いていたら、「話を聞いていない」と上司に告げ口をされた。
  • 冗談が好きな利用者とジョークを交えて笑いながら会話をしていたら、ほかの利用者が「人によって態度を変えている」と不信感を抱かれた。
  • 男性の利用者にレクリエーションで折り紙をしようと誘ったら、「子どもじゃないんだから、そんな幼稚なことができるか!」と機嫌を損ねられた。

4-2.利用者への接し方の悩み~訪問介護編

訪問介護の現場での声です。

  • 食事の準備をするために冷蔵庫を開けようとしたら、「勝手に開けるな」と叱られた。
  • 時間内に食器を洗いたかったので下膳したら、「まだ食べるのに!」と文句を言われた。
  • 入浴時に「きれいに洗いましょうね」と声をかけたら、「私はそんなに汚いの?」と言われた。
  • ヘルパーのサービス内容とは異なる部屋の掃除などを頼まれて、断れずに困っている。
  • 「お金を盗った」と疑われた。

など、さまざまな苦労があります。

また、施設介護でも訪問介護でも、ちょっと目を離したスキにベッドや車イスから落ちて骨折をしたという事例も多くみられます。こういった業務上での問題点は上司に相談して一緒に解決するようにしましょう。

5.介護職員のイライラの原因

介護職員のイライラの原因

もっと利用者一人ひとりに向き合いたいけれど勤務時間内にやらなければいけないことが多すぎて、十分に関われないというジレンマを抱えている人が多いようです。現場の様子から見える「イライラの原因」を解明してみましょう。

5-1.頑張りすぎ

介護の仕事にやりがいを感じる人ほど、つい頑張ってしまいます。「自分に与えられた業務を時間内に終えるように取り組みつつ、利用者のお世話もしっかりしなければ……」と意欲を持って取り組むのはいいことですが、自分の理想通りに仕事が進まないとイライラの原因になってしまいます。

また、「お年寄りと話をするのが好き」という人も、現場の忙しさで十分に会話ができずにイライラを感じてしまいます。ひどい場合は不眠やうつ症状が出る人もいるので、頑張りすぎないように気をつけましょう。

5-2.相談できる仲間がいない

ミーティングなどで仕事の振り返りなどをする場があるとそこで悩みを相談できるのですが、実際は忙しくて時間が取れない、業務連絡だけで終わってしまうというのが現状です。

また、うまくいかなかった点を相談したくても、「そんなことも知らないの?」「高齢者にはそういう接し方はしちゃダメよ。当然でしょ!」と頭ごなしに否定されると何も言えなくなってしまい、自分ひとりで抱えることになりがちです。

職場は風通しよく何でも相談できる雰囲気を作ることが大切です。また、同僚や上司でグチや悩みを打ち明けられる人を作るようにしましょう。

5-3.自分の役割や業務の目的を十分に理解していない

高齢者のお世話は、ときにはむなしくなることがあります。「これだけ一生懸命に介護をしても弱っていく」と思うと、自分の仕事に意義を感じなくなることがあるものです。その結果、仕事が単純作業の繰り返しという「ルーチンワーク化」してしまいます。

ただ、同じ作業をしていても、

  • レクリエーションには指先を使って脳を活性化させる効果がある
  • 利用者に明るく声をかけるのは利用者との距離を近づける目的があるが、人によっては静かに接してほしいと思う人もいる

など、それぞれの業務や職場での日々の行動の意味をよく理解すると、イライラが解消されます。また、利用者にもきちんと説明をしながら接することができます。

6.介護職員へおすすめのイライラ解消法~6つのポイント

介護職員へおすすめのイライラ解消法~5つのポイント

介護職の現場でよくあるイライラの原因を見てきましたが、解消するにはどうすればいいのかまとめてみました。

6-1.悩みをためない

仕事の悩みは誰もが持っています。「自分はできないダメな職員だ」と決めつけないようにしましょう。また、少しでも疑問や不満、悩みが芽生えたら、すぐに上司に相談して悩みをためないことが大切です。

上司は職員が辞めずに長く働いてくれることを望んでいます。そのために「不満や悩みは遠慮せずに打ち明けてほしい」「その人の希望に沿った働き方ができるように配慮したい」と考えています。しかし、それをはっきり伝えないとわからないので、すれ違いの原因になります。グチではなく、「相談」という形で持ちかけてみましょう。

6-2.頑張りすぎない

やりがいを持っている人や理想が高い人ほど頑張りすぎる傾向があります。その結果、「燃え尽き症候群」になり、「あんなに意欲的で頑張っていたのに、すぐに辞めてしまった」という短期離職になりがちです。

介護のスキルは短期間で上達するものではありません。利用者のタイプもさまざまで、経験を積むことで体得できる部分が多くあります。入職してすぐに「やりがいがない」「向いていない」などと決めつけないようにしましょう。

6-3.働く目的を明確にする

その職場で働く目的は「お金」でしょうか、「家事や子育てとの両立」でしょうか、「やりがい」でしょうか。

まず、それを自分の中で整理してみましょう。家庭との両立が目的ならば、たとえ給料が高くても遠くて勤務時間が長い職場は避けるべきです。自分の働く目的に合致した職場ならば、「ここが今の自分にはベストな環境」と割り切って仕事に取り組めます。

一方でやりがいを目的にするならばキャリアアップができる職場を選ぶといいですし、責任ある仕事を任せられるように努力してみましょう。自分の目的がはっきりすると、意外と不満は消えていきますよ。また、それにふさわしい職場を探すことができます。

6-4.人と比較しない

介護現場では過去にさまざまな職業を経験している人が働いています。新人として採用された人同士でも年齢も人生経験も異なります。あまり人と比較しないようにしましょう。

自分より少しでもキャリアがある人なら、さりげなく相談するのもいい方法です。ただし、その人が正しい判断を下せるかどうかはわかりません。意見は参考にするだけにして、上司やチームリーダーなどに相談することが大切です。

6-5.相談は解決につながる相手にすること

不満をため込まないために仕事仲間とグチをこぼし合うのは悪いことではありません。サラリーマンでも会社帰りに同僚とお酒を飲んでうっぷんを晴らしています。それはそれでストレス発散になるので、ときにはいいでしょう。介護現場で働く人も、ときにはみんなでおいしいものを食べて気分転換をはかりましょう。

ただし、それで問題が解決するわけではありません。悩みや不満、問題は解決につながる相手に相談しなければ意味がありません。管理職、所長、もっと深刻な場合は労働基準局などしかるべき場所に話を持ち掛けることが大切です。労働時間や賃金に関しての問題は、職場に組合があれば相談に乗ってもらえます。もし組合がない場合は次のようにひとりでも加入できる組合があります。

こういった組合に参加すると業界のことや他施設の様子などがよくわかり、悩みの解決につながります。利用してみるといいでしょう。

6-6.介護職の転職事情にくわしいアドバイザーに面談をお願いする

職場の雰囲気や人間関係、給料そのものに不満がありイライラする場合には転職という選択肢も検討するべきです。職場を変えることで解決する問題もあるでしょう。その際に必要なことが介護業界に特化した派遣会社に登録することです。

きらケアであれば、職場の内部事情にくわしく時給やシフトの交渉をアドバイザーが代行してくれるため面倒はありません。また就業後でもいつでもアドバイザーに相談できる環境にあるため転職先でイライラすることがあってもいつでも相談できる人ができるというメリットがあります。

きらケアだけが扱う非公開の求人情報などもありますので、いちど相談してみるといいでしょう。

きらケア

まとめ

介護の仕事はやりがいがあるものの賃金が低い、なかなか休みが取れないといった問題があり、それがイライラにつながります。また、介護の仕事は「やってもゴールが見えない」という側面があるため、頑張りすぎる人ほど早くに燃え尽きる傾向があります。

今回ご紹介した原因と解消法を参考にして、イライラをためないようにしましょう。

  • 介護の仕事を辞めた原因は「事業所の運営の在り方」「職場の人間関係」「労働時間や賃金など待遇に関する不満」が多い
  • 介護職員のイライラの原因には「頑張りすぎ」「グチを言ったり相談したりする相手がいない」「自分の役割や業務の目的を十分に理解していない」ということが背景にある
  • 介護職員のイライラを解消するには、「悩みをためない」「頑張りすぎない」「働く目的をはっきりさせて割り切る」「人と比較しない」「解決できる窓口で相談する」ことが大切

介護の仕事で悩む人は多くいます。上司も同じ経験をしてきたのではないでしょうか。周囲には理解してくれる人がいるはずです。一人で抱え込まずに、誰かに相談してイライラを解消させましょう。

介護職員がイライラしてしまう原因と5つの解消方法