介護保険の給付金額はどれくらい?給付が制限されるケースとは?

介護保険の給付金額はどれくらい?給付が制限されるケースとは?

介護保険給付とは要介護者に対して提供されるサービス、金銭、物のすべてを指します。介護保険給付には全国共通のものと市町村が独自に行っているものがあります。

このページでは介護保険給付の内容や給付制限がある場合など介護保険給付に関して詳しく解説します。

1.介護保険給付とは

介護保険給付とは介護保険を利用して受けられるサービスのことで、全国共通の給付で要介護者を対象にした介護給付、要支援者を対象にした予防給付と市町村が独自で行う市町村特別給付に分類されます。

1-1.介護給付とは

介護給付は要介護1~5の人を対象にしたサービスで、

  1. 居宅介護サービス費
  2. 地域密着型介護サービス費
  3. 居宅介護福祉用具購入費
  4. 居宅介護住宅改修費
  5. 居宅介護サービス計画
  6. 高額介護サービス費
  7. 特定入所者介護サービス費
  8. 施設介護サービス費

があります。それぞれのサービス内容は次の通りです。

①居宅介護サービス費

  • 訪問介護…自宅にホームヘルパーが訪問して入浴や食事の介助、掃除・洗濯などの生活援助をします
  • 訪問入浴介護…自宅に浴槽などの器具を持参して入浴介助を行います
  • 訪問看護…看護師や保健師が自宅を訪問してカテーテルの交換や痰の吸引などの医療処理を行います
  • 訪問リハビリテーション…理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問してリハビリテーションを行います
  • 居宅療養管理指導…医師など医療従事者が自宅を訪問し、医療行為を行います
  • 通所介護(デイサービス)…利用者がデイサービスセンターなどに通って食事やレクリエーションなどのサービスを受けます
  • 通所リハビリテーション(デイケア)…所定の病院や介護老人保健施設などに通って理学療法士・作業療法士・言語聴覚士からリハビリテーションを受けます
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)…特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに数日間入所するサービスです
  • 特定施設入居者生活介護…介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどに入所する人に対して食事や入浴などのサービスを行います
  • 福祉用具貸与…車いすや介護用の特殊寝台、歩行器、歩行補助つえなどの福祉用具をレンタルします

②地域密着型介護サービス費

  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護…介護と看護の担当者が連携しながら日中や夜間に巡回訪問や緊急対応などを行います
  • 夜間対応型訪問介護…夜間の決められた時間におむつ交換や安否確認に訪問したり、オペレーションセンターで緊急連絡に対応したりします
  • 地域密着型通所介護…平成28年4月から始まったサービスで定員が19名未満の小規模な通所介護事業所(デイサービス)は「地域密着型通所介護事業所」となりました。デイケアと同様に食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受けます
  • 認知症対応型通所介護…認知症のある高齢者が自宅から通所し認知症ケアを受けます
  • 小規模多機能型居宅介護…施設への通所を中心にしながら体調が悪いときは訪問介護を受けたり、家族が出かけるときは施設に宿泊したりしてサービスを受けます
  • 認知症対応型共同生活介護…グループホームと呼ばれる施設に認知症のある要介護者が入所してサービスを受けます
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護…定員30名未満で指定を受けた有料老人ホームやケアハウスなどに入所して介護サービスを受けます
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護…定員30名未満の介護老人福祉施設に入所して食事や入浴、生活援助などのサービスを受けます
  • 複合型サービス…看護小規模多機能型居宅介護と呼ばれるもので、利用者の状況に合わせて施設への通所を中心に訪問介護や施設への宿泊、看護師の訪問看護などのサービスを行います

③居宅介護福祉用具購入費

特殊福祉用具に指定されている用具(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など)の購入費用に対して1年間で最大10万円を限度に支給されます。利用者はその1割または2割を負担します。

④居宅介護住宅改修費

バリアフリーや手すりの取り付けなどの工事費用に対して最大20万円まで支給されます。利用者はその1割または2割を負担します。

⑤居宅介護サービス計画

介護サービスを受けるためのケアプランを作成するサービスです。

⑥高額介護サービス費

要介護者の自己負担分が高額になった場合に世帯の所得に応じて自己負担額の上限を設けるサービスです。

⑦特定入所者介護サービス費

要介護者の自己負担分が高額になった場合に世帯の所得に応じて自己負担額の上限を設けるサービスです。

⑧施設介護サービス費

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設に入所して、入浴や食事など生活支援や機能訓練などのサービスを受けます。

「① 居宅介護サービス費」と「② 地域密着型介護サービス費」は費用の9割(所得によっては8割)が介護保険から支給されるので、自己負担額は1割(または2割)だけです。「⑧ 施設介護サービス費」も費用の9割(または8割)は介護保険から支給されますが、食費と居住費、日常生活費は全額自己負担になります(ただし、所得によっては食費や居住費の自己負担額の上限が設けられています)。

1-2.予防給付とは

要介護状態に進行するのを予防する目的で設けられたもので、要支援1と2の人が対象です。

予防給付の内容は、

  1. 介護予防サービス費
  2. 地域密着型介護予防サービス費
  3. 介護予防福祉用具購入費
  4. 介護予防住宅改修費
  5. 介護予防サービス計画費
  6. 高額介護予防サービス費
  7. 特定入所者介護予防サービス費

があり、「① 介護予防サービス」「② 地域密着型介護予防サービス」の内訳は次のようになっています。提供されるサービスは介護給付と同じですので説明は省きます。

①介護予防サービス

  • 介護予防訪問入浴介護
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 介護予防短期入所生活介護
  • 介護予防短期入所療養介護
  • 介護予防特定施設入居者生活介護
  • 介護予防福祉用具貸与

②地域密着型介護予防サービス

  • 介護予防認知症対応型通所介護
  • 介護予防小規模多機能型居宅介護
  • 介護予防認知症対応型共同生活介護

③介護予防福祉用具購入費

④介護予防住宅改修費

⑤介護予防サービス計画費

⑥高額介護予防サービス費

⑦特定入所者介護予防サービス費

上記③~⑦は介護給付と同じですが、要支援者は施設サービスを受けることができないので、「⑧ 施設サービス費」は支給されません。自己負担額は介護給付と同様に1割(所得によっては2割)です。

1-3.市町村特別給付とは

市町村が独自に行っているサービスで、

  • 訪問入浴介護の回収を増やす
  • 配食サービス
  • 寝具の乾燥サービス
  • 訪問理髪サービス

などがあります。サービス内容は市町村によって異なるので、役所で聞いてみましょう。

2.介護保険の保険給付金額

介護保険の居宅サービスは要介護の度合いやサービスの種類に応じて、支給される金額に上限が設けられています。これを支給限度基準額と呼びます。

2-1.介護保険の支給限度基準額

介護保険の支給限度基準額は次の4つに分類されます。

  1. 区分支給限度基準額
  2. 種類支給限度基準額
  3. 福祉用具購入費支給限度基準額
  4. 住宅改修費支給限度基準額

このうち「② 種類支給限度基準額」は市町村によって提供されるサービスが異なるため、ほかの利用者と不公平にならないように条例などでサービスの限度額を設けています。

また、「③ 福祉用具購入費」は毎年4月1日から12ヶ月間で10万円が限度額になっています。そのうちの9割(人によっては8割)が給付されます。

「④ 住宅改修費」の限度額は20万円で、9割(または8割)が給付されます。

「① 区分支給限度基準額」は次の通りです。

要介護度 区分支給限度基準額 該当するサービス内容
要支援1 5,003単位
  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問リハビリテーション
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 定期巡回
  • 随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護(短期のみ)
  • 複合型サービス
要支援2 10,473単位
要介護1 16,692単位
要介護2 19,616単位
要介護3 26,931単位
要介護4 30,806単位
要介護5 36,065単位

なお居宅療養管理指導や特定施設入居者生活介護、地域密着型介護、老人福祉施設入所者生活介護などは区分に含まれません。また、1単位=10円ですが、そこに地域単価を掛けて計算します。それぞれの要介護度に応じて、この範囲内であれば自由にサービスを利用できます。

2-2.一人当たりの介護給付費

厚生労働省では介護給付費等の実態調査を毎年行っています。平成28年8月審査分で全国の受給者総数は介護サービスが4,103,000人、介護予防サービスが1,100,000人、一人当たりの費用額は介護サービスが190,2000円、介護予防サービスが36,000円となっています(費用額とは審査月に原審査で決定された額で、保険給付額、公費負担額、利用者負担額の合計額のことです。市町村が直接支払う費用(償還払い)分は含まれていません)。

3.介護保険の給付制限とは

介護保険の給付制限とは

介護保険は40歳以上の人は全員が加入し、所得に応じた保険料を納付するようになっています。そして65歳以上になると要介護や要支援の度合いに応じて介護給付が受けられます(40歳以上で65歳未満は所定の特定疾病で要介護状態になった場合だけ受給できます)。

介護保険制度は財源の半分を保険料で、残りの半分を税金などの公費でまかなっています。つまり、要介護状態ではない健康な人も保険料を負担して国民全体で支える仕組みになっているのですが、保険料を滞納している人がそうでない人と同等のサービスを受けるのは不公平になります。そのため保険料を滞納した場合は給付の制限が加えられることになっています。

保険料を滞納すると一定期間は督促されますが、それでも納付されない場合は保険給付の制限措置が取られ、介護サービスを受けられなくなります。

給付制限の内容は、

  • すでに要介護認定を受けて介護サービスを受けている場合
  • 第1号被保険者で認定前に保険料を滞納し、保険料の徴収債権(※)が時効で消滅している場合
  • 第2号被保険者で国民年金保険料の滞納がある場合

によって対応が分かれます。

※徴収債権とは市町村に与えられている強制的に保険料を徴収できる権限のことで、納付期限の翌日から2年で時効を迎えます。

3-1.すでに要介護認定を受けている人の給付制限

制限は滞納の期間によって内容が異なります。

3-1-1.滞納から1年経過後

すでに要介護認定を受けて介護サービスを受けている人は現物支給だったサービスが償還払いになります。現物支給とは実際にかかった費用の9割(または8割)を利用者に代わって市町村が事業者に支払う方法のことで、利用者は実質1割(または2割)の自己負担分の支出だけで済むというものです。

ところが滞納が続いて給付制限の対象になると償還払いに切り替わります。償還払いとは利用者が先にサービスにかかった費用の全額を支払い、後日市町村に申請して9割(または8割)分を返してもらう方法のことです。

3-1-2.滞納から1年6ヶ月経過後

滞納から1年6ヶ月が経過すると保険給付が一時差し止められます。それでもまだ滞納が続く場合は差し止められた保険給付から滞納している保険料を差し引く措置が取られます。

3-2.第1号被保険者が要介護認定を受ける前に保険料の滞納がある場合

第1号被保険者とは65歳以上の高齢者のことで、市町村の徴収債権の時効を過ぎてしまった場合は、その後要介護認定を受けて実際にサービスを利用するときに、納付できていない期間の分だけ給付率を引き下げる措置が取られます。

具体的には通常は9割(または8割)が介護保険から支給されるところを7割に引き下げられるというものです。そのため、本人の負担額が3割に増えてしまいます。また、高額介護サービス費は給付されません。

3-3.第2号被保険者で滞納がある場合

第2号被保険者とは40歳以上65歳未満の人のことですが、サラリーマンは給料から介護保険料が引かれているので滞納ということはほぼ起こりません。ただ、国民健康保険に加入している人は国民健康保険料と一緒に滞納をする場合があります。滞納している人が介護給付を受ける状態になっても、給付の一時差し止めの措置が取られます。

介護保険料の滞納は介護サービスが十分に受けられないだけでなく介護保険制度そのものを支えられない要因になります。滞納しないように納めることが大切です。もし納付が難しい場合は役所で相談してみましょう。

4.介護保険の給付管理はケアマネジャーの仕事

介護保険の給付管理はケアマネジャーの仕事

介護サービスを受けた後の費用の計算はケアマネジャーが行います。

介護サービスには多くの種類があり、要介護度によって給付額の上限額が決められているため、ケアマネジャーは利用者一人ひとりの状態に合わせて支給限度基準額を超えないようにケアプランを作成します。ケアプランに沿ってサービス事業者に連絡をし、サービスの提供が始まります。

サービスを受けた後でケアマネジャーはかかった費用、利用者の自己負担額などを給付管理票に記入し、国民健康保険団体連合会(国保連)に提出します。国保連は給付管理票に基づいてサービス事業者に費用の9割(または8割)を支払い、利用者は1割(または2割)をサービス事業者に支払います。

利用者、ケアマネジャー、サービス事業者の三者の流れは次のようになっています。

  1. 要介護認定を受ける(利用者)
  2. ケアプランを作成(ケアマネージャー)
  3. ケアプランを承諾(利用者)
  4. サービス利用票とサービス提供票を作成(ケアマネージャー)
  5. サービスを受ける(利用者)、サービスを提供する(サービス事業者)
  6. 給付管理票を作成し国保連に提出する(ケアマネージャー)
  7. 国保連に介護費用を請求(サービス事業者)
  8. 費用の1割(または2割)を事業者に支払う(利用者)、国保連から9割(または8割)を事業者に支払う(サービス事業者)
  9. モニタリングをして問題点などを検討する(ケアマネージャー)

まとめ

介護保険は要介護の度合いや生活する場所(自宅か施設か)によって受けられる給付内容が異なります。介護給付を受けるにはケアマネジャーと相談し、ケアプランを作成してもらう必要があります。

  • 介護保険給付は全国共通のものと市町村が独自で提供するものがある
  • 全国共通の介護保険給付は居宅介護サービス、地域密着型介護サービス、施設で受けるサービスなどに分かれている
  • 介護保険給付の費用は受けるサービスや要介護・要支援の度合いによって異なるが、それぞれに支給される金額の上限が設けられている
  • 介護保険料を滞納すると介護保険給付が制限され、自己負担額が増えたり、現物支給が償還払いに変わったりする
  • 提供される介護保険給付の請求はケアマネジャーが介護保険給付管理票を作成して国保連に提出する

このように介護保険は受けられるサービス内容や費用などが細かく決められています。ただ、今後改正される可能性があるので、利用する前に市町村で詳しく説明を受けるようにしましょう。

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介護保険の給付金額はどれくらい?給付が制限されるケースとは?