在宅介護の費用はいくらかかる?内容と金額を徹底チェック!

在宅介護の費用はいくらかかる?内容と金額を徹底チェック!

老後に介護が必要になった場合は、在宅で介護する方法と施設に入居する方法があります。自宅で親の介護をする場合は、介護保険を利用してさまざまなサービスが受けられます。こちらのページでは在宅介護のサービス内容と費用、申し込み方法などについて説明しています。ご自身の老後や親の介護の参考にしてください。

1.在宅介護サービスの内容

在宅で受ける介護サービスのことを「訪問介護」や「ホームヘルプサービス」と呼び、サービス内容には「身体介護」と「生活援助」があります。訪問介護サービスは「訪問介護員(ホームヘルパー)」が行います。ホームヘルパーは「介護福祉士」や「介護職員初任者研修(従来の1級、2級のホームヘルパー養成研修や介護職員基礎研修を修了した人)」の資格が必要です。

1-1.多くの人が介護は自宅で受けたいと望んでいる!

内閣府が55歳以上の人を対象に「介護を受けたい場所は?」という調査を実施したところ、34.9%の人が「自宅」と答えています。次に多いのが「病院などの医療機関」で20%、そして「介護老人福祉施設に入所したい」が19.2%、「介護老人保健施設を利用したい」が11.8%と続いています。(平成24年度)

<介護を受けたい場所はどこですか?(調査対象55歳以上の男女)>

  • 自宅……34.9%
  • 病院などの医療機関……20%
  • 介護老人福祉施設……19.2%
  • 介護老人保健施設……11.8%
  • 民間の有料老人ホームなど……3%
  • 子どもの家……2.4%

出典:内閣府 高齢者の健康に関する意識調査

このように多くの人が自宅での介護を希望しています。しかし、家族だけではなかなか十分な介護ができません。そこで役立つのが在宅介護サービスです。

1-2.在宅介護サービスの身体介護

在宅介護サービスで受けられる身体介護には、次のものがあります。

  • 食事介助
  • 排泄介助……オムツ交換やトイレの介助、トイレまでの移動の手助け、陰部の洗浄
  • 衣類の着脱介助……着替えの手伝い
  • 入浴介助……浴槽に入れる、身体洗浄や洗髪の介助。清拭や陰部の洗浄など部分洗浄も行う
  • 身体整容……洗顔、歯磨き、整髪、ひげそり、耳垢取り、爪切りなど身体を清潔に保つこと
  • 体位交換……寝たきりになると褥瘡(じょくそう)(床ずれのこと)を起こすので、それを防ぐために体位交換を行う
  • 移動・移乗介助……ベッドから車いすへの移動や車いすからベッドへの移動、ベッドから立ち上がるときの介助などを行う
  • 通院・外出の介助
  • 自立支援のための見守り援助……(例)洗濯物を一緒にたたんだり、掃除や調理を一緒にしたりしながら安全面を見守りつつ声かけをして自立を促す
  • 専門的な調理……糖尿病食など医師の指示に基づいた食事の調理

など。

1-3.在宅介護サービスの生活援助

生活援助サービスには、次の内容があります。

  • 掃除
  • 洗濯
  • 衣類の整理・補修
  • 一般的な調理
  • 配膳・下膳
  • 買い物……日常生活で必要なものの買い物代行(銀行口座への預け入れや引き出しは行いません)。
  • 薬の受け取り

1-4.在宅介護サービスに含まれないもの

訪問介護は介護保険を使って実施するサービスです。以下の行為は対象外なので注意が必要です。

1-4-1.利用者の家族の利便に供する行為

例えば利用者の家族の洗濯物や調理、買い出しなどは本来は家族がやるべきことです。こういった行為は訪問介護サービスには含まれません。ほかにも、

  • 利用者が使う部屋以外の掃除
  • 来客の応接(お茶を出すなど)
  • 自家用車の洗車

なども対象外です。

1-4-2.日常生活の援助に該当しない行為

訪問介護員がやらなくても利用者が日常生活を送るのに支障が生じない行為は対象外です。

  • 草むしり
  • 花木の水やり
  • 犬の散歩やペットの世話

1-4-3.日常的に行われる家事の範囲を超える行為

年末の大掃除や床のワックスがけなど日常的に行われないものも訪問介護の対象外となります。

  • 家具の移動
  • 部屋の模様替え
  • ペンキ塗り
  • 植木のせん定など

2.在宅で訪問看護を受けることもできる

在宅で訪問看護を受けることもできる

在宅介護のひとつに「訪問看護」があります。「訪問介護」はホームヘルパーさん(訪問介護員)が訪問して介護サービスを行いますが、「訪問看護」は看護師(準看護師)や保健師などが訪問してサービスを行います。

2-1.訪問看護の内容

訪問看護のサービスは医師の指示のもとで行われます。病院や診療所の訪問看護サービスや独立した訪問看護ステーションなどがサービスを提供しています。訪問看護のサービス内容は以下のように多岐にわたります。

  • 清拭・洗髪・入浴介助
  • 食事の介助
  • 排泄の介助
  • 医師の指示に基づく医療行為
  • 血圧・体温・脈拍などの測定とチェック
  • 医師の指示に基づく医療行為
  • カテーテルなど医療機器の管理
  • 床ずれの予防や処置
  • 在宅でのリハビリテーション
  • 家族への介護指導

在宅でのリハビリテーション(訪問リハビリテーション)も訪問看護のサービスに含まれています。この場合は理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問することもあります。

また、医師などの医療従事者が利用者の自宅を訪問して医学的管理指導を行う「居宅療養管理指導」というサービスもあります。これには歯科医による「歯科医学的管理指導」や薬剤師による「薬学的管理と指示」、歯科衛生士による「口の中や入れ歯の清掃に関する指導」、管理栄養士による「栄養指導」などが含まれます。この場合の利用者の負担額は介護保険の支給限度基準額には含めなくてもよいとされています。

 訪問看護のサービスに含まれないこと

訪問介護では買い物や掃除、洗濯などの生活援助を行いますが、訪問看護ではこのような生活援助のサービスは行いません。

3.在宅介護の費用

在宅でサービスを受ける訪問介護の費用は作業内容によって細かく設定され、介護報酬は「算定構造」と呼ばれるシステムによって計算されます。

介護報酬は身体介護が中心か、生活援助が中心かでも違ってきますし、作業の内容の組み合わせで大きく違ってきます。何時間行うか、早朝や夜間など時間帯でも差があります。訪問介護員の人数、資格、地域、事業所によっても違いがあります。

3-1.訪問介護費の算定構造

在宅介護(訪問介護)の費用を算出する基礎になる「算定構造」は以下のようになっています。

<訪問介護費の算定構造>

基本部分 身体介護の(2)~(4)に引き続き生活援助を行った場合 2人の訪問介護員等による場合 夜間もしくは早朝、深夜の場合 特定事業所加算
イ・身体介護 (1)20分未満(165単位) 所要時間が20分から起算して25分増すごとに+67単位(210単位を限度) ×200/100 夜間または早朝の場合…+25/100

 

深夜の場合…+50/100

特定事業所加算(Ⅰ)+20/100

 

特定事業所加算(Ⅱ)+10/100

 

特定事業所加算(Ⅲ)…+10/100

 

特定事業所加算(Ⅳ)…+5/100

(2)20分以上30分未満(245単位)
(3)30分以上1時間未満(388単位)
(4)1時間以上(564単位に30 分を増すごとに+80単位)
ロ・生活援助 (1)20分以上45分未満(183単位)
(2)45分以上(225 単位)
ハ・通院等乗降介助(97単位)
ニ・初回加算(200単位)

(平成27年4月時点)

3-2.実際の計算例

表の中の1単位は10円で計算されますが、地域によって「地域単価」が設定されているので実際にはそれを掛けて計算します。例えば身体介護を1回20分未満受けると165単位です。1単位10円なので1650円ですが、利用者は1割負担なので1回あたり165円になります(実際の計算は地域や事業所によって異なります)。

同様に見ていくと、利用者が1回あたりで負担する費用は以下のようになります。

3-2-1.身体介護の費用

  • 20分未満…165円
  • 20分~30分未満…245円
  • 30分~1時間未満…388円
  • 1時間以上…564円(以降は30分増すごとに80円加算)
 例)

1週間に身体介護を50分、3回受けた場合は388円×3=1164円となります。

3-2-2.生活援助の費用

  • 20分~45分未満…183円
  • 45分以上…225円
 例)

1週間に40分の生活援助を3回受けた場合は183円×3=549円となります。

3-2-3.実際の計算例

訪問介護で身体介護(入浴の介助や身体整容、体位交換などを1日90分、月に12回利用、生活援助(部屋の掃除や薬の受け取りなど)を1日40分、月に12回使用した場合の月の費用を見てみましょう。なお費用は1単位=10円とみて計算します(実際は地域や事業所などによって若干異なります)。

(A)身体介護を1日90分…1時間564単位+30分ごとに80単位増えるので、564単位+80単位=644単位

1ヶ月に12回なので644単位×12=7728単位

(B)生活援助を1日40分…1日183単位。1ヶ月12回なので183×12=2196単位

(A)と(B)の合計…7728単位+2196単位=9924単位

1単位=10円なので99240円になりますが、利用者は1割負担なので9924円となります。

3-3.訪問介護サービスの支給限度基準額

訪問介護サービスを受ける場合は介護保険を利用しますが、要支援や要介護の段階によって上限が設けられています。

<訪問介護サービスの支給限度基準額>

サービスの支給限度額 金額の上限の目安(自己負担額は1割または2割)(※)
要支援1 5003単位 50,030円
要支援2 10473単位 104,730円
要介護1 16692単位 166,920円
要介護2 19616単位 196,160円
要介護3 26931単位 269,310円
要介護4 30806単位 308,060円
要介護5 36065単位 360,650円

(※)1単位=10円で計算しています。実際の計算は地域単価を掛けた金額になります。

上限金額を超えた分は全額自己負担になります。

4.在宅介護を利用する方法

在宅介護(訪問介護)を利用するには、事前に要介護(要支援)認定を受けてからケアマネージャー(介護支援専門員)にケアプランを作成してもらう必要があります。

4-1.在宅介護を利用する流れ

在宅介護を利用するまでの流れは次のようになります。

  1. 市町村に要介護認定の申請をして要介護(要支援)認定を受ける
  2. 訪問介護の事業者を選ぶ…パンフレットやホームページ以外に市町村の窓口でも相談できます
  3. ケアマネージャーに相談してケアプランを作成してもらう
  4. 重要事項証明書を受け取る
  5. 事業者と契約書を交わす
  6. 訪問介護計画書を受け取る
  7. サービスの利用開始

なお、ケアプランは何度でも作成が可能です。実際に利用してみて事業者の対応に不満がある場合や、プラン内容が利用者のニーズに合わない場合などはケアマネージャーに相談して作成しなおしてもらいましょう。

5.在宅介護(訪問介護)の自己負担額は医療費控除の対象

1年間(1月~12月)に同一世帯で支払った医療費が高額になる場合は「医療費控除」の対象となり確定申告をすることで所得税が還付されますが、訪問介護や訪問看護で支払った自己負担分も医療費控除の対象になります。

5-1.医療費控除の対象になる項目

医療費控除の対象となるサービスは以下の通りです。

  • 訪問看護
  • 介護予防訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 短期入所療養介護
  • 介護予防短期入所療養介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問介護を利用する場合に限ります)
  • 複合型サービス(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます)に限ります)

ただし、生活援助中心型の訪問介護や認知症対応型共同生活介護などは含まれません。

5-2.医療費控除を受けるための必要書類

医療費控除を受ける場合は確定申告書に病院の領収書を添付して提出しますが、訪問介護の場合は介護サービスの提供を受けている市町村や事業者に「在宅介護費用証明書」や「居宅生活支援サービス利用者負担額証明書」や「居宅サービス利用料領収書」を発行してもらいます。

これを確定申告の際に添付してほかの医療費や紙おむつの領収書などと一緒に税務署に提出します。

まとめ

要介護や要支援状態になったときに自宅で介護を受ける場合は、訪問介護や訪問看護のサービスを受けることができます。その際の重要な点を理解しておきましょう。

  • 訪問介護には「身体介護」と「生活援助」がある
  • 訪問介護はケアマネージャーにケアプランを作成してもらって事業者を選び利用する
  • 訪問介護サービスは介護保険が利用できるが、要介護(要支援)の段階に応じて支給額の上限がある
  • 訪問介護サービスにかかった費用のうち、利用者の自己負担は1割(所得によっては2割)である
  • 訪問介護や訪問看護で支払った額は確定申告をすることで所得税が還付される

介護が必要になったら家族だけで悩まずに市町村に相談しましょう。要介護認定を受けてケアプランを作成してもらうことでさまざまなサービスが受けられます。高齢者の介護は長引く場合があるので、こまめに相談し支援を受けながら続けることが大切です。

在宅介護の費用はいくらかかる?内容と金額を徹底チェック!