介護保険の保険料はどう決まる?介護保険の仕組みを知ろう

介護保険の保険料はどう決まる?介護保険の仕組みを知ろう

40歳になると給料から健康保険料に介護保険料が上乗せされて徴収されます。いずれは誰もが高齢者となり、介護保険のお世話になる可能性があります。介護保険料の金額はどのように決められているのか、そして納付した介護保険料はどのように使われているのか、理解しておきましょう。

1.介護保険の目的

介護保険の目的

介護保険は2000年から始まりました。その背景には高齢化社会の問題があります。

厚生労働省によると、1960年代の日本の高齢化率は5.7%でした。ところが1970年には7.1%、1980年代には9.1%に上昇し、1990年は12%になっています。そして介護保険制度が始まった2000年の高齢化率は17.3%にまで上昇しました。

1-1.介護保険導入の背景には老人医療と老人福祉の限界がある

介護保険が導入されるまでは、高齢者が寝たきりなど介護が必要な状態になると一般病院での長期入院を強いられていました。その結果、国の医療費が増大していきます。また、病院は治療を目的にしているため、介護を必要とする人が療養するための設備や居室が少ないという問題がありました。

一方、老人福祉の面では介護の状態に合わせたきめ細かなサービス体制が整っていないため、介護が必要であっても行き場がないという問題が生じます。さらに核家族化や介護をする家族も高齢になるという老老介護の問題が増加していき、介護保険という制度のニーズが高まっていきました。

1-2.介護保険は3年ごとに見直される

このような事情で介護保険がスタートしましたが、その後も高齢化が進んでいます。介護の現場で抱える問題にも変化が生じるために、介護保険制度は3年ごとに見直しが行われています。

1-2-1.介護保険の見直し

介護保険制度の見直しは、次の観点で行われています。

  • 料金体系
  • 介護が必要な状態にならないための予防に力を入れる
  • 介護と看護の連携
  • 多機能型サービスの提供

特に近年は老老介護や高齢者の孤独死などが問題となり、社会全体で高齢者や家族を支える方向に向かっています。

2.介護保険の保険料の仕組み

介護保険の保険料の仕組み

毎月納めている介護保険料がどのような仕組みになっているのか、詳しく見てみましょう。

2-1.介護保険の基本用語

まず介護保険に関する用語を理解しておきましょう。

用語 意味
保険者 市町村
被保険者 40歳以上の国民すべて

  • 第1号被保険者……65歳以上の人
  • 第2号被保険者……40歳以上65歳未満の人
保険料 介護保険の財源として被保険者が負担する分

【保険料の徴収方法】

  • 第1号被保険者の保険料は年金から天引き(年金年額18万円以上の場合)
  • 第2号被保険者の保険料は医療保険の保険料と一緒に徴収

なお、介護保険の被保険者は介護保険料を納めると同時に、要支援や要介護状態になった場合は1割負担で介護サービスが受けられます(一定以上の所得がある場合は2割負担になります。また、40歳~65歳未満の第2号被保険者は指定された特定疾病が原因で要介護状態になった場合に介護サービスが受けられます)。

2-2.介護保険制度の仕組み

介護保険は被保険者が収めた介護保険料と税金を財源として介護が必要な人が受けるサービスにかかる費用の9割を負担しています。そのため、介護が必要な人は1割を負担するだけで介護サービスが受けられます(一定の所得がある人の場合は2割負担になります)。

介護保険制度の仕組み

出典:公的介護保険制度の現状と今後の役割

2-3.介護保険料の額

私たちが納める介護保険料は誰もが同じ金額ではありません。それぞれ加入している健康保険によって異なります。

2-3-1.会社員・公務員など健康保険に加入している場合

保険料は会社と従業員が折半して出しています。従業員が納める介護保険料の金額は、健康保険組合で保険料率が決められ、標準報酬月額に保険料率をかけて計算します(標準報酬月額とは基本給+通勤手当+(残業手当・家族手当・住宅手当などの各種手当)をもとに計算されます)。そのため、人によって保険料が異なります。

2-3-2.国民健康保険に加入している場合

所得や資産などによって保険料が異なります。

2-3-3.65歳以上の人の保険料

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料率は市町村ごとに定める基準と被保険者の所得などによって決められます。そのため、同じ所得であっても市町村によって違いがあります。その結果、所得が低い人が多い市町村は介護保険料の収入が少なくなります。

なお、市町村は介護保険の給付水準を独自に決めることができます。介護給付の水準が高い市町村では介護保険料が高くなります。さらに独自に市町村の特別給付や独自の事業を行うこともあります。そのために市町村間で保険料の格差があり、最高と最低では1.29倍の開きがあります。

2-4.介護保険料の徴収方法

介護保険料の徴収方法は、加入している健康保険によって異なります。

第2号被保険者 サラリーマン・公務員など健康保険に加入 健康保険料に上乗せして徴収
国民健康保険に加入 国民健康保険料に上乗せして徴収
第1号被保険者 年金年額が18万円以上 年金から天引き
年金年額が18万円未満 市町村に直接納付

2-4-1.扶養家族の介護保険料

サラリーマンの扶養家族(40歳~65歳未満)の介護保険料は健康保険料に上乗せして一緒に徴収されています。そのため、別途納入する必要はありません。

2-4-2.65歳以上で任意継続被保険者の介護保険料

第2号被保険者で退職後も任意継続被保険者になっている人や特別退職被保険者の人は健康保険料に介護保険料を上乗せして納付します。ただし、サラリーマン時代のように会社が保険料の半分を負担するということはありません。そのために負担割合は高くなります。

3.介護保険は原則強制加入

介護保険は原則強制加入

介護保険は原則として40歳以上のすべての国民が強制加入するようになっています。

3-1.在日外国人の介護保険加入

在日外国人でも外国人登録をしていて、在留期間が1年以上など一定の条件を満たす場合は介護保険の被保険者になります。ただし、短期間だけ滞在する外国人は対象外です。

3-2.介護保険に加入できない人

日本人でも海外に長く滞在していて日本国内に住民票がない場合は介護保険には加入できません。また、日本国内に住んでいても、次の施設に入所している場合は「介護保険の適用除外」となります。

  • 障害者支援施設
  • 重症心身障害児施設
  • 指定国立療養所等の重症心身障害児(者)病棟または進行性筋委縮症児(者)病棟
  • 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設
  • ハンセン病療養所
  • 救護施設
  • 労災特別介護施設

など。

4.生活保護を受けている人の介護保険

生活保護を受けている人の介護保険

生活保護を受けている人の介護保険は年齢によって扱いが異なります。

4-1.65歳以上で生活保護を受けている場合

65歳以上の場合は第1号被保険者になります。介護サービスは介護保険から受け、その際の利用者の負担分は生活保護の介護扶助で支払われます。また、介護保険料は生活保護の生活扶助から支払われます。

4-2.40歳以上65歳未満で生活保護を受けている場合

40歳以上65歳未満で生活保護を受けている人は被保険者にはなりません。そのため、介護保険料の徴収はありませんが、要介護状態になった場合は生活保護の介護扶助を受けることになります。

5.介護保険を滞納したとき

介護保険を滞納したとき

介護保険はサラリーマンなど給料から健康保険料と一緒に引かれている場合は滞納ということはありませんが、国民健康保険料と一緒に徴収される場合などで何らかの事情があって滞納した場合は、督促状が届きます。それでも滞納が続いたら、市町村が強制的に保険料を徴収する権利(徴収債権)が与えられます。徴収債権は2年で時効になります。

5-1.介護保険料を滞納すると介護サービスが受けられない

すでに要介護認定を受けていて介護サービスを受けている人が滞納を続けると、サービスの給付を一時差し止めるなどの措置が取られます。また、滞納の記録が介護保険の被保険者証に記載されます。収入が著しく減って介護保険料が払えない場合は減免されることがあるので、いちど市町村に相談してみましょう。

まとめ

介護保険は超高齢化社会に向けて2000年にスタートしました。介護保険の保険料に関して大切なポイントを理解しておきましょう。

  • 介護保険は40歳になると被保険者となり、介護保険料の徴収が開始する
  • 介護保険料はサラリーマンなど健康保険に加入する人は会社と折半になり、会社が半額負担している
  • サラリーマンの扶養家族(40歳以上65歳未満)の介護保険料も給料から徴収される
  • 国民健康保険に加入する人は健康保険料と一緒に徴収される
  • 65歳以上の人は年金から天引きされる
  • 介護保険の財源は徴収した保険料が50%、税金が50%である

介護保険は高齢化社会を支える大切なものですが、どうしても保険料が支払えない場合は減免措置があるので相談してみましょう。

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