訪問入浴介護とは?在宅介護で知っておきたいサービス内容

訪問入浴介護とは?在宅介護で知っておきたいサービス内容

老後もできるだけ自宅で暮らしたいという方が多くいらっしゃいます。ただ介護が必要な状態になると、家族だけで高齢者の身体を支えて安全に入浴させるのは難しくなります。そういうときに利用できるのが「訪問入浴介護」です。訪問入浴介護サービスとはどんな内容なのか、手続きはどうすればいいのかなどについて詳しくご説明します。

 1.訪問入浴介護とは

訪問入浴介護とは、その名称の通り介護職員が自宅に専用の浴槽を持参して、利用者の入浴や入浴後の着衣やバイタルチェック(体温や血圧などのチェック)を行うサービスのことです。居宅介護サービスのひとつで、費用の1割を負担することで利用できます。

1-1.訪問入浴介護のサービス内容

事前に医師の許可を得たり、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらったり……といった手続きが必要ですが、当日の流れは以下のようになります。

1-1-1.訪問

訪問当日にスタッフ(看護師または準看護師1名、介護職員2~3名)が訪問入浴専用者で利用者の自宅を訪問します。

1-1-2.バイタルチェック

入浴の前には「バイタルチェック(体温、血圧、脈拍などの計測)」を行い、入浴に差しさわりがないか確認します。看護師がいるので健康状態や顔色なども見て判断してくれます。もし微熱がある場合など体調がすぐれないときは身体の清拭で終わることもあります。

1-1-3.脱衣

慣れない家族が衣類を脱がせるのは大変ですが、介護職員が脱衣をしてくれます。自分でできる場合は手伝いをしてスムーズに脱衣ができるようにします。

1-1-4.入浴準備

持参した浴槽にお湯を入れて、石けんやシャンプー、タオルなどを準備します。

1-1-5.入浴

介護職員が介助しながら入浴を行います。そのときは利用者の体調を見ながら身体に負担をかけないように手早く行います。希望や状況に合わせて毛髪のシャンプーも行います。

1-1-6.着衣

入浴後はバスタオルで水分をふき取り、衣類を着せていきます。希望があれば爪切りや保湿クリームを塗ることもあります。

1-1-7.バイタルチェック

入浴後の体調を看護師がチェックします。

これで訪問入浴は終わりです。

1-2.爪切りや耳垢取りなどもサービスのひとつ

爪切りや耳垢取りなどもサービスのひとつ

訪問入浴介護の際には、希望すれば爪切りや耳垢取り、塗り薬や保湿クリームの塗布などをしてくれます。以前はこれらは「医療行為」とみなされ、看護職員しかできませんでした。しかし、近年は「医療行為ではない」とされたため、ヘルパーでも実施できます(爪切りは爪そのものに異常がないこと、爪の周辺に炎症や化膿していないことといった条件があります)。

普段の生活で家族ではサポートできない部分をしてもらえるので助かります。

1-3.訪問入浴介護を実施している事業所

訪問入浴介護の事業は「指定訪問入浴介護事業者」が行います。事業を行うには、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、株式会社など「法人格」を持つことが条件になっています。

 1-3-1.訪問入浴介護はどこに頼めばいい?

多くの事業所が訪問入浴介護を実施していますが、サービスを受けるには要支援または要介護の認定を受けることが条件になります。その上でケアマネージャーに相談して訪問入浴介護を受けたいことを伝えましょう。

訪問入浴介護を受けることが決まったらケアマネージャーからサービスを提供している事業所に連絡してくれます。ひとりで悩まずにケアマネージャーに相談してみましょう。

1-3-2.訪問入浴介護スタッフの対応が悪い場合

もし訪問入浴介護サービスを受けてみて、スタッフの対応が悪いとか、利用者である高齢者が嫌がる、痛がるなど気になる点があれば、ケアマネージャーに相談してください。その場合はどんなところが気になったかをメモに残しておきましょう。

2.訪問入浴介護を受けるには

訪問入浴介護は、ただ「高齢者のお世話が大変だから」という理由だけで受けられるわけではありません。一定の条件や手続きがあります。

2-1.訪問入浴介護を受ける条件

訪問入浴介護を受けられるのは、要支援1・2、要介護1~5の人が対象です。さらに医師の許可が得られることが条件になります。65歳未満の人で訪問入浴介護を受けるには、16種類の特定疾病が原因で要介護状態に認定されることが必要です。

2-1-1.人工肛門などがある場合

人工肛門や膀胱留置カテーテル、経管栄養などの医療処置を受けている人でも、症状が安定していて医師の許可があれば入浴サービスを受けることができます。症状や当日の体調によって全身入浴ではなく半身入浴、部分浴、清拭だけになることもあります。

2-2.訪問入浴介護を受ける手続き

まずは要支援や要介護の認定を受けることが第一です。認定を受けることでサービスが受けられますし、介護保険が利用できます。要介護認定の申請をすると30日以内に訪問調査員が派遣され、認定が行われます。結果が通知されると在宅で介護サービスを受ける場合はケアマネージャーにケアプランを作成してもらいます。要支援の場合は地域包括支援センターが介護予防プランを作成します。

また、訪問入浴介護を受けるには主治医の許可が必要です。

3.訪問入浴介護の費用

訪問入浴介護の費用は要支援と要介護で異なりますが、いずれも利用者は1割を負担します。負担額は以下の通りです。

  サービス費用の設定 利用者負担額(1回につき)
要支援1・2 全身入浴 834円
要介護1~5 全身入浴(看護職員1人と介護職員2人) 1,234円
全身入浴(介護職員3人) 1,172円

なお一定の所得がある第1号被保険者は自己負担割合が2割になります。またスタッフの数や地域、事業者によって金額が変わりますし、交通費や夜間・早朝などの時間手当がかかる場合もあります。

4.訪問入浴介護のメリット

訪問入浴介護は介護を受ける本人だけでなく家族にとっても負担が軽減され、多くのメリットがあります。

4-1.訪問入浴介護の介護を受ける人(利用者)側のメリット

訪問入浴介護は、何よりも介護を受ける人にとって大きなメリットがあります。

4-1-1.精神的なメリット

家族に入浴の介助をお願いするのは気を使ってしまい、なかなか「お風呂に入りたい」と言えないケースが多いようです。しかし、介護保険サービスを使って訪問入浴介護を受けると1割の費用負担で入浴サービスが受けられます。気兼ねなく入浴できるのは精神的に大きなメリットになります。入浴することで気分がほぐれ、気持ちが明るくなります。

4-1-2.身体的なメリット

入浴は身体を清潔に保つという効果や血行をよくする効果があります。膝や腰の負担が軽くなるので、浴槽の中で足の曲げ伸ばしなどをするとリハビリ効果も得られます。身体が温まることでよく眠れるため、不眠症の解消にも役立ちます。

4-2.訪問入浴介護の家族側のメリット

家族にとって要介護の人の入浴は身体的に負担がかかります。特にひとりで行う場合は難しいのですが、専門家が複数で訪問して入浴の手伝いをしてくれると助かります。ただし、要介護者に認知症がある場合は、他人に入浴の介助をしてもらうことを嫌がる可能性があります。そのつど説明してあげましょう。

まとめ

訪問入浴介護は介護保険で受けられる居宅サービスのひとつです。内容や条件は以下の通りです。

  • 訪問入浴介護が受けられるのは、要支援1・2の人と要介護1~5の人が対象
  • 訪問入浴介護のサービスを受けるには医師の許可が必要
  • 訪問入浴介護は自宅に看護職員と介護職員が専用の浴槽を持参して入浴の介助をしてくれる
  • 看護職員によるバイタルチェックがあるので安心

費用は1割で済むので、皮膚を清潔にして気持ちよく暮らすためにも利用するといいでしょう。

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